想定の「限界」超す揺れ検出 宮城県沖地震で女川原発
東北電力は2日、8月16日の宮城県沖地震で自動停止した女川原発(同県女川町、石巻市)で、耐震設計上の最大想定を上回る揺れが一部にあったと発表した。同原発は点検中で、安全上問題となる被害は見つかっていないという。だが、耐震設計の出発点となる想定値の妥当性を疑わせるもので、原子力安全委員会で現在進められている耐震設計指針の見直し論議に影響を与えそうだ。
経済産業省原子力安全・保安院は2日、院長名で同社に原因の詳しい分析を求める指示を出した。
原発では、過去5万年に起きた地震や直下型地震なども考慮し、「およそ現実的でない」と考えられる強さの「限界地震」を設定し、原子炉格納容器などの重要施設をそれに耐えられる構造にしている。
東北電力によると、今回の地震について、構内の岩盤(地下8.6メートル)に置いた地震計のデータをもとに詳しく分析した結果、周期0.05秒付近の揺れの大きさが888ガル(ガルは加速度の単位)に達し、限界地震の想定値(673ガル)を上回った。
一方、1~3号機の建屋など48カ所に置かれた地震計では、1号機の屋上にあったもので限界地震を上回ったものの、建屋内については、構造上揺れが抑えられることもあり、下回った。同電力は「屋上には機器が設置されていないので安全上の問題はない」としている。
(朝日新聞 2005/09/02)