「もんじゅ」近くに想定外の活断層帯 M7級地震の可能性
核燃機構「起きても大丈夫」


高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)から約3キロにある活断層地帯マグニチュード(M)7級の地震を起こす可能性のあることが、政府の地震調査委員会などの調べでわかってきた。核燃料サイクル開発機構は「万一起きても大丈夫」とするが、従来の安全審査では想定しておらず、設置許可の無効確認を求めた行政訴訟でも争点に取り上げられなかった。耐震性の審査の難しさが浮き彫りになった形だ。(添田孝史)



行政訴訟は、国が83年5月に「もんじゅ」の設置を許可したことは無効だと確認することを求めて、周辺住民らが起こした。上告審判決は最高裁で30日に言い渡される。2審で名古屋高裁金沢支部は03年1月、国の安全審査に過誤があったとして設置許可を無効としたが、耐震性の審査には欠陥はないとしていた。


しかし、地震調査委員会は04年1月、敦賀半島先端部から滋賀県余呉町に連なる長さ25キロの活断層帯「浦底-柳ケ瀬山断層帯」でM7.2程度の地震が推定される、と発表した。


断層帯は海岸寄りの浦底から、ウツロギ峠、池河内、柳ケ瀬山までで、敦賀湾内でも連続しているとみられている。活動度はBからC級だが、将来の地震発生確率は不明としている。


核燃機構は、80年のもんじゅの許可申請前に活断層を調査したが、最も直近にあるこの活断層帯による地震は想定しなかった。「古い断層で、今後、地震を起こすとは考えなかった」と説明。国の安全審査でも問題にならなかった。
地震調査委員会の発表を受け、核燃機構はこの活断層帯が動いた時の地面の揺れを最新の手法を使って計算。もんじゅの岩盤上での揺れは200ガルで、想定している最も厳しい466ガルを下回ることを確かめた。


ゆったりとした揺れ(周期2秒付近)では、最大想定値に近い揺れが生じることもわかったが、「重要構造物は、周期が短いので影響はない」と、同機構もんじゅ建設所の池田真輝典・プラント第2課長は言う。


この活断層帯の過去の活動について、地震調査委員会の報告書は「ほとんど資料が得られていない」とする。独立行政法人産業技術総合研究所活断層センターの杉山雄一センター長は「調査委員会は航空写真のデータを主に使っている。今後は過去の活動などを地質的な情報から詳しく調べる必要がある」と言う。


経済産業省の原子力安全・保安院は今年2月、敦賀原発で2基増設を計画している日本原子力発電に、浦底-柳ケ瀬山断層帯の詳しい調査を指示した。同社は、敦賀半島北部の海底で、音波調査などを始めている。
核燃機構は「今後の調査を見守り、必要なら耐震性の検討をする」と説明している。(朝日新聞 2005/05/24)



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