日本の原発作業員の被ばく量最悪 他国は低減傾向 作業改善へ調査開始
日本の原発で保守点検に従事する作業員の放射線被ばく量は、原発を持つ主要な国の中でも最も多い状態が続いており、経済産業省原子力安全・保安院は、他国の保守点検状況などを分析し、作業の改善点を探る調査に乗り出した。
原発の作業被ばくは世界的に低減傾向にあり、日本の状況は2002年4月にウィーンで開かれた「原子力の安全に関する条約会議」でも指摘された。このため、保安院は05年に開かれる次回会議までに改善点をまとめる方針。
比較対象は軽水炉に関し、1年間に働いた全作業員の1基当たりの総被ばく量。単位は「人シーベルト」で表す。いわば、その国の原発1基を維持するために生じる被ばく量となる。
原子力安全基盤機構によると、日本は02年度も1.55人シーベルト。原発作業員の被ばくデータを集める「職業被ばく情報システム」の加盟29カ国の中でも、稼働する原発が多い主要国では4四年連続で最も高かった。
炉型別でも沸騰水型炉が2.10人シーベルトと最悪。加圧水型炉は1.0人シーベルトだった。
軽水炉全体でみると、主要国では米国が1.31人シーベルト、ドイツが1.00人シーベルト、フランスが0.97人シーベルト。最も少ない国は、チェコの0.20人シーベルトだった。
同機構によると、他の国々が近年、徹底した被ばく低減対策に取り組んでいることのほか、02年度は東京電力の原発トラブル隠しにより、保守点検の作業量が増えたことによる影響も考えられるという。
同機構の水町渉安全情報部長は「1人当たりの被ばく量を見れば作業員の健康に全く問題はないが、日本は被ばく低減の努力を怠っており、作業を見直せば下がる余地はある」と指摘している。
<原発の作業被ばく> 原発の作業員が保守や点検の際に放射線を浴びること。法令上は作業員の被ばく線量限度を1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトと定め、これを超えるとそれ以上の作業はできない。使用者への処罰規定もある。原発の管理区域での作業者はあらかじめ登録され、線量計などで被ばく量を測定、定期的に健康診断を受けるなど管理されている。作業に携わる人数が多い日本では1人当たりの被ばく量は少ないとされる。
(中日新聞 2004/05/07)
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人の犠牲の上に成り立つ原発ビジネス。3・11前にこんなことほとんど知らなかった自分が恥ずかしい。使い捨てられていく人たちの姿に涙が出ました。事故のあるなしにかかわらず、原発は存在自体が罪です。絶対に見て下さい。http://blogs.yahoo.co.jp/x_csv/20411162.html