【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
核燃サイクル:廃止までに21兆円 電事連が試算


国内の原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理・燃料への加工・最終的な廃止措置など核燃料サイクルにかかる総費用が、06年の再処理工場操業から廃止までの72年間で約21兆7000億円にのぼるとする電気事業連合会(電力会社10社で組織)の試算が3日、明らかになった。試算は、この費用を含めた原発の1キロワット時当たりの発電コストが、天然ガスや石炭火力をやや上回る7円台になるとしている。処分費用総額や発電コストはこれまで非公表で、電力会社側の試算が明らかになるのは初めて。


21兆円を超える費用は火力など原発以外では必要なく、原発でも使用済み核燃料を再利用せず、直接処分すれば、21兆円もかからない。そのうえ、21兆円についても、計画が順調に運ぶことを前提にしたもので、業界内には実際はもっとかかると試算に対する疑問が強く、議論を呼ぶのは必至だ。


21兆円の内訳は、電力各社が出資する日本原燃が青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料の再処理工場の操業費用が6兆9000億円で最も多く、同工場を06年7月から40年間利用した後、32年間かかる工場の解体・廃止措置が1兆6100億円など。11月中にも総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)で公表する。


電力自由化に伴うコスト競争で、長期に多額の費用がかかる原発の推進に電力会社は慎重姿勢を見せ始めている。21兆円は、電力料金に上乗せして回収する方針で、工場の操業費用など一部は積み立てが始まっているが、廃止措置費など手当てできていないものも多く、負担方法を同調査会で議論することになる。


原発の発電コストは、99年の通産省(現・経済産業省)の審議会の試算で「5.9円」とされ、天然ガスの「6.4円」、石炭の「6.5円」に比べ割安とされてきたが、電力業界には「最終処理費用が正確に反映されておらず、現実的でない」と反発が強く、今回の見直しにつながった。


電事連は「国策である原発の最終処理は多額の費用がかかるため、民間事業になじまない」として、「国民に広く薄く負担を求める新たな費用回収制度」の創設や高レベル放射性廃棄物処分場の国有化などを政府に求める方針だが、世論の反発も予想される。【川口雅浩】



<核燃料サイクル>
原発で使った「使用済み核燃料」から、プルトニウムを取り出す再処理工場が06年7月に青森県六ケ所村で稼働する。40年間稼働し、プルサーマル発電に用いるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の加工工場なども六ケ所村にできる。操業を終えた後は、「核のごみ」となる高レベル放射性廃棄物の処分、汚染された各工場の廃止措置などが必要。

(毎日新聞 2003/11/04)



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