【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

放射線の影響、孫の代まで マウスの生殖細胞に異常


【ワシントン6日共同】放射線によって起こる生殖細胞異常の発生率は、放射線を浴びなかった子や孫でも、被ばくした親と同様に高くなることを、英国レスター大のグループがマウスを使った動物実験で突き止め、7日付の米科学アカデミー紀要に発表した。

放射線被ばくによる先天異常発生の可能性が、後の世代にまで引き継がれることを示す結果で、グループは「人間への被ばくの影響を考える上で、重要な結果だ」と指摘した。

グループは、生物に与える影響の大きい中性子線と、比較的影響の少ないエックス線をマウスに照射。生まれた子を、放射線を浴びていないマウスに交配、生まれた子(孫)を、被ばくしていないマウスと再び掛け合わせた。そこで、子や孫の精子などの生殖細胞の特定の遺伝子領域に発生する異常の率を調べた。

異常の発生率は、放射線の種類とほとんど関係なく上昇。孫マウスでも、放射線を浴びていないマウスのほぼ3倍になっていることが判明。放射線の影響が、被ばくをした親やその子供だけでなく、少なくとも次の世代の生殖細胞にまで伝わることが分かった。

グループは「生殖細胞の異常が何世代にも及ぶことは、被ばくによる先天異常発生のリスクが、これまで考えられていた以上に大きいことを示唆している」としている。

(共同通信 2002/05/07)