【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
放射性物質輸送容器 英仏2社、自主検査怠る
運輸省 55基の使用停止


使用済み核燃料など放射性物質の輸送容器について、日本の電力会社の委託を受けて容器を管理している核燃料会社の「BNFL」(英)と「コジェマ」(仏)の2社が、運輸省が義務づけている安全確認のための自主検査を怠っていたことが1日、関係者の話で明らかになった。運輸省は今年2月に両社が保有する輸送容器55基の使用を停止するよう指示。関西電力や東京電力など5社は同3月、同省に「使用廃止届」を提出していたが、こうした事実はこれまで一切公表されていなかった。

英核燃料会社のBNFLを巡っては、昨年9月、関西電力高浜原発向けのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の検査データをねつ造していた問題が発覚。輸送を監督する運輸省や科技庁が検査漏れの事実を把握したのは、データねつ造が問題となっていた時期だけに、こうした事実を公表しなかった電力会社や行政官庁の姿勢が問われることになりそうだ。

放射性物質の輸送容器については、海上が運輸省、陸上輸送は科学技術庁が、その安全性を審査する。同省が1990年に出した通達は、この輸送容器を適切に保管するため年に1回、管理者が自主検査を行うよう日本の電力各社に義務付けている。

検査漏れが発覚したのは、関電と東電のほか、日本原子力発電、東北電力、北海道電力の5社が、BNFLとコジェマに使用済み核燃料を輸送する際に使用した26基の容器。

関係者によると、日本の電力会社に昨年12月、BNFLなどから一部の容器の検査が遅れたとの報告があった。電力会社は運輸省に報告、同省は検査漏れが確認された26基と、残り29基についても「電力会社が現地の管理状況を把握できていないのは問題」として、使用の停止を指導。今年3月、電力会社から使用廃止の届け出があった。

一方、科技庁は中部電力から検査漏れがあるとの報告があり、廃止届の提出を受けたが、指導はしていなかった。
運輸省は「使用を禁止したので実際に輸送することはあり得ず、安全性に問題が出ることはない。運輸省に事業者の監督責任はなく、積極的に開示する必要性はないと考えていた」と話している。


関西電力の話 運輸省の指導に従って廃止届を出しており、現在の原発運転や環境には影響はない。公表する事案ではないと考えていた。

東京電力の話 管理上の問題があったとは認識しているが、輸送容器は再利用するメドがなかったので、安全上の問題はないと思い公表しなかった。

(日本経済新聞 2000/12/02)