【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

福井・高浜原発 4号機もデータねつ造
MOX燃料 関電が使用断念 プルサーマル大幅遅れ


高浜原発4号機(福井県高浜町)で国内初のプルサーマルを計画している関西電力は16日、英国で製造されたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料データに、新たにねつ造が見つかったため、輸送された8体すべての使用を中止すると発表した。来年1月にも実施予定のプルサーマルは大幅に遅れる見通し。資源エネルギー庁や関電はこれまで「ねつ造はなかった」と強調していたが、同庁は同日、国としての責任を認めた。福島県知事が同日、東京電力福島第1原発3号機でのプルサーマルも延期見通しを示すなど、日本での計画全体への影響は必至。新たなねつ造の発覚で東海村臨界事故で強まっている原子力ヘの国民の不信感はさらに深まりそうだ。

関電の山崎吉秀専務は新たなねつ造の発覚について「われわれの調査不足と言われても仕方がない」としているが「プルサーマルからの撤退は全く考えていない」としている。燃料8体を英国へ送り返すかどうかは「検討中」という。

新たにねつ造が見つかったのは、燃料集合体8体に収められた直径約8ミリ、高さ約13ミリの燃料ペレット3000個の中から200個を抜き出して直径を測る検査のデータ。8体に入った199ロット(1ロットは3000個のペレット)のうち1つのロットのデータが、別のロットのデータを100個分そっくり引き写したものだったことが分かった。

また、英国の核施設検査局(NII)の調査で、別の2ロットのデータも統計的にみてねつ造の疑いがあることが分かった。燃料を調査した英国核燃料会社(BNFL)が16日、調査結果を関電に報告した。

今回の事態について資源エネルギー庁は関電に再発防止策が確立されるまでBNFLから核燃料を輸入しないよう指導。ベルギーの燃料加工会社で加工した燃料を使って福島第1原発でプルサーマルを計画している東京電力にも再度データの確認を指示した。

ねつ造問題では9月中旬に高浜原発3号機用MOX燃料データをBNFL検査員がねつ造していたことが発覚。関電は4号機用燃料についても英国に職員を派遣し調査したが「ねつ造はなかった」とする最終報告を11月にまとめ、通産や国の原子力安全委員会も「妥当」と判断していた。
しかし今月9日付の英紙がねつ造の疑いを指摘し、資源エネルギー庁や関電は職員、社員を英国に再度、派遣し調査していた。

英核燃料会社が謝罪



【ロンドン16日共同】英国核燃料会社(BNFL)は16日、同社が製造したMOX燃料がデータねつ造の疑いで使用中止となったことについて謝罪談話を発表した。談話は「関西電力などに謝罪したい。信頼を回復するためあらゆる措置をとる」としている。


<プルサーマル> 通常の商業用原発で、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を燃やす。高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(1995年12月)などで、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを利用するめどが立たなくなり、余剰プルトニウムを出さないためにプルサーマルの必要性が高まった。このため政府は97年2月、「早急に進めることが必要」として閣議決定。関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)では2000年1月に始まる予定だった。

(中日新聞 1999/12/17)