【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
臨界事故 避難前に許容量超す?
350メートル圏被ばく量推計 科技庁報告


核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故で、科学技術庁の事故調査対策本部は4日、事業所の敷地境界付近に人がいた場合の被ばく線量は、最大に見積もると臨界終息までに一般人の年間被ばく許容限度(1ミリシーベルト)の160倍、避難区域の350メートルの端でも同2.1倍に達した恐れがあるとの分析結果をまとめ、原子力安全委員会(佐藤一男委員長)に報告した。

避難圏内でも避難が呼び掛けられる前に既に許容限度を超えていた可能性があり、危機管理体制の不備があらためて問われそうだ。

科技庁ば茨城県や東海村などの関係自治体と協力して周辺住民の行動を調べ、このデータと突き合わせて被ばく線量を推定する。
また、原子力安全委員会も、4日設置を決めた「健康管理検討委貝会」で住民の長期の健康管理について検討する方針だ。


発表ではまた、測定データや溶液試料、事業所にあった書類などの分析から、投入されたウランの量は16.6キログラムで、1000分の1グラムが核分裂したことや、放射線量の半分近くが臨界初期に放射したことも判明した。

科技庁は、今回発表した周辺への放射線量は、被ばく量を慎重に計算した最大値で、実際の放射線量は、被ばく者の実測値からみて数分の1以下だった可能性が高いと強調している。

日本原子力研究所などの計算によると、事故が発生した9月30日午前10時35分から約25分間、事故現場から300メートル離れたところにとどまった場合の被ばく線量は1.7ミリシーベルトと、短時間で一般人の年間被ばく許容限度1ミリシーベルトを超えた。同じ時間80メートルの敷地境界付近にとどまった場合では75ミリシーベルトだった。


臨界終息後の10月1日午前6時すぎまでの約20時間での被ばく線量は、80メートル地点に人がいた場合160ミリシーベルト、同500メートル地点でも年間限度の約2分の1に当たる0.49ミリシーベルトだった。

一方、全身の放射能量を測定して被ばくが確認された60人のデータ分析から、中性子線とガンマ線を合わせた被ばく線量が0.6-64ミリシーベルトだったことが分かった。臨界を止める作業に当たったJCO社員は、簡易線量計データでは最大100ミリシーベルト以上だったが、全身の精密測定でこれより少ない44ミリシーベルトの被ばくと分かった。敷地のすぐ外で建設作業をしていた7人では最大15ミリシーベルト、被ばく社員の救助に当たった救急隊員は最大13ミリシーベルトだった。

(中日新聞 1999/11/05)