【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
砂糖で放射線調査 岐阜薬大・葛谷教授が考案


東海村臨界被ばく事故で、自宅に放射線が入り込んだかどうか、各家庭で保存してある砂糖を使って調べる方法を岐阜薬科大学(岐阜市)の葛谷昌之教授(薬品物理化学)が3日、考案した。「心配な人は砂糖を研究室まで送ってください。」と呼び掛けている。

放射線を浴びた原子は「ラジカル」と呼ばれる特別な状態になる。通常、ラジカルは空気中の酸素と反応してすぐに形を変えてしまうが、砂糖は酸素と反応しない。このため、砂糖に含まれているラジカルを調べれば、事故当時に放射線を浴びたかどうかがわかるという仕組み。

葛谷教授は最先端科学のプラズマ化学の専門家。放射線も、プラズマと同じような反応を物質にもたらすことから、この方法を思いついたという。

調査に必要な砂糖はスプーン一杯分。ラジカルは水と反応するため、湿気の入らない容器に密封。事故当時、砂糖はどのような素材の容器に入っていたか▽自宅と事故現場との距離▽住所▽氏名▽電話番号▽──を書いた紙を同封する。
葛谷教授は「サンプルが多ければ多いほど、放射線量の相対的な強弱を知ることができます」と話し、調査結果は砂糖を送った住民に直接、知らせるという。

砂糖の送り先は〒502-8585岐阜市三田洞東5-6-1、岐阜薬科大学薬品物理化学教室=電058(237)3931へ。

(東京新聞 1999/10/04)