【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
15歳以上でも甲状腺がん増加 チェルノブイリ原発事故
旧ソ連・チェルノブイリ原発事故(1986年4月)の影響で、甲状腺がんが大人(15歳以上)も増加していることが、ベラルーシ共和国科学アカデミー物理化学放射線問題研究所のミハイル・マリコ博士の調査で初めて明らかにされた。子供の甲状腺がんの急増は明確だったが、大人の場合、相関関係ははっきりしないとされていた。増加率は予想された自然増よりも3~2倍高かった。これにより、ベラルーシ共和国の事故による甲状腺がん発生数は、推定よりも10倍も多い約7000人に達すると推計される。
ベラルーシ共和国は、事故の時に風下だったため、ほぼ全土が放射性ヨウ素などで汚染した。大人の甲状腺がんは、自然増もあり、感受性の強い子供に比べて放射能の影響を受けにくいことから、当時からあいまいなままになっていたが、マリコ博士は、事故を挟んで20年間(77~97年)に同共和国保健省などがすべての病院から集めたデータを分析した。その結果、87年に1.4倍、90年に1.8倍、93年に3.1倍、97年に3.6倍と、事故を境に増加率が著しく高まっていることが明確になった。
(毎日新聞 1999/05/24)