【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
原子炉溶接 虚偽報告14基で248件『日立側、黙認も』
エネ庁検討会温度記録鑑定
原子炉配管溶接工事の温度記録の虚偽報告問題で、通産省資源エネルギー庁は26日、金属・溶接工学の専門家らでつくる「溶接部健全性評価検討会」(会長・近藤駿介東大教授)の2回会合を開き、温度記録を鑑定した結果、判明した虚偽報告容疑個所の総数は14原子炉で新248カ所に上る、と報告した。
また電気工事会社「伸光」(茨城県日立市)が行った虚偽報告の作成について、発注元である日立製作所の子会社の電気設備会社「日立エンジニアリングサービス」(同市)の担当者が誘導・黙認したケースがあった、と認定した。
エネ庁報告によると、伸光が日立側から請け負った工事数は、全国18原子炉で計4万4819件。このうち記録グラフの波線が不自然に整っているなどの観点から虚偽報告容疑個所を特定した。容疑個所が最も多いのは、東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)6号機の38件。このほか、同原発5号機で37件、中国電力の島根原発2号機で36件など。
東京電力の福島第1原発1号機、同6号機、柏崎刈羽7号機、中部電力の浜岡(静岡県)1号機の計4基では、容疑個所はなかった。
また、関係者からの事情聴取で伸光は1982年ごろ、日立エンジニアリングの現場担当者から「温度記録の見栄えが悪い」などと言われ、虚偽報告の作成を開始、担当者も黙認していたことが分かった。
これまでの日立の内部調査では、11原子炉の計百167件が「虚偽の疑い」とされていたが、同庁は「少しでも疑いのある記録については『容疑個所』に数え、チェックする方針」としている。
(中日新聞 1997/09/26)