【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

原子炉工事の虚偽報告 書類だけで合格に 検査協会


原子炉配管溶接工事の温度記録虚偽報告問題で、国の工事検査を代行している財団法人「発電設備技術検査協会」(東京)が、施工者の日立製作所側から出された虚偽の温度記録を書類審査のみで合格させていたことが17日、通産省資源エネルギー庁の調査で分かった。同庁は検査方法に問題があったとみて、記録作成時に検査担当者を立ち会わせたり、確認のため実測を求めるなど検査態勢の全面的な見直しを行う。
同庁はこの日、同協会や日立製作所日立工場など4カ所で立ち入り検査を実施。関係資料の提出を求めたが、電気工事業「伸光」(茨城県日立市)が請け負った溶接工事は全国で約4万3000件に上っているため、日立工場などは18日も引き続き検査する。
エネ庁の調べなどによると、検査協会は1970年に電気事業法に基づく発電設備の検査・試験を目的に設立。職員240人のうち約30人が通産省OBで、常勤理事も5人中3人が通産省からの「天下り」で占められている。
原子炉の配管溶接工事は同法で国の検査に合格することが義務付けられているが、同協会は業者が提出した資料の数値を確認するなど書類審査しか行わず、伸光の虚偽記録についても気が付かなかったという。
日立側の内部調査によると、虚偽記録は温度グラフの波形に断線や乱れがなく、不自然なラインになっており、社員が記録を見比べた結果、81年以降に少なくとも167件が原子炉とは別の配管などを使って作られた疑いが持たれている。

(中日新聞 1997/09/18)