【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

放射性廃棄物を“投棄” 海中にドラム缶2本
仏の核燃料再処理工場


【パリ16日臼田信行フランス北部ラアーグにある使用済み核燃料再処理工場近くの海底で、放射性廃棄物を詰めたとみられるドラム缶が放置されていたことが明らかになり、ボワネ環境・国土整備相は16日、工場を操業するフランス核燃料公社(COGEMA)の措置に「安全規則上の誤りがあった」と言明した。
同工場周辺では廃液のため子どもの白血病発生率が通常の3倍近くに上ると指摘されており、同相は周辺海域への立ち入りを禁止しているが、公社の安全対策の欠陥を認めたのは初めて。日本、英国、ドイツの放射性廃棄物を処理している公社の再処理計画に影響を与えそうだ。
放射性廃棄物の放置場所とみられているのは、工場の沖合約250メートルの海底。国際環境保護団体グリーンピースが14日、放射性廃棄物が入ったと思われる2つのドラム缶などを発見したと発表。写真も公開し、工場が排水管の洗浄作業の過程で捨てたものと非難した。
公社は「ドラム缶は捨てたのではなく、近く回収するつもりだった」と釈明したが、同相は「排水管の清掃作業の際、放射性廃棄物や廃液の完全回収を義務づけている原子力施設保安局の指示に従わなかった」と、公社の安全規則違反を指摘。「放射性廃棄物の完全密封が保証されるまで、洗浄作業の再開は認められない」と述べた。
工場周辺の白血病多発の問題では、調査にあたる政府専門委貝会の委員長が先に住民集会で「放射性廃棄物と白血病の発生に因果関係はない」と説明したが、公社側のデータに基づく見解とみられたことから委員同士が対立。委員長は辞任するなど、核燃料再処理工場をめぐって事態は混迷の度を深めている。

(中日新聞 1997/09/17)