【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
動燃 27年前から浸水把握
抜本的対策取らず 東海事業所の貯蔵施設
たまった水を処理 ボイラーを無許可使用
ウラン廃棄物のずさんな管理が問題になっている動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が東海事業所廃棄物貯蔵施設にたまった水を蒸発させる小型ボイラーを法に違反して許可なく使っていたことが科学技術庁の1日までの調べで分かった。さらに、施設に施すべき防水加工をしていなかった可能性が高いことや27年前から廃棄物貯蔵施設内にたまった水の放射能を測り、くみ出していたことも明らかになった。
動燃は施設の浸水が分かって水の除去を始めたのは15年前で、放射能測定は13年前からと説明してきたが、これを覆す内容。早くから浸水を把握しながら科技庁にも報告せず、抜本的な対策を取らなかった動燃の姿勢があらためて問われることは間違いない。
科学技術庁によると、動燃は施設内にたまった水を蒸発させて量を減らすため、今年2月に小型ボイラーを購入。本来は原子炉等規制法に基づく使用許可が必要だが、動燃は「汚染の程度が低い」などの理由で、申請は必要ないと勝手に判断して申請をしなかった。
また、2つある貯蔵施設のうち、1つについては科技庁への申請では「防水モルタル加工をする」となっていたのに、1967年の使用当初から加工していない可能性が高いことが分かった。
科技庁の片山正一郎核燃料規制課長は同日夜の記者会見で「どういう経緯だったのかを確認した上で対応を検討したい」と語った。
さらに、現場の担当者が事業所内の放射線管理担当者に、施設内にたまった水をくみ出す方法について相談した記録も科技庁の立ち入り検査で見つかった。記録は、70年から74年まで5回分。たまった水の量に関する記録は、まだ見つかっていない。
動燃はこれまで「施設の浸水は82年4月の科技庁の調査で分かった。それ以前に水の除去はしていない」(鶴巻宏一・環境技術開発推進本部副本部長)と説明。放射能測定を始めた時期も84年としていた。
動燃の全施設で管理体制を点検 科学技術庁が発表
動燃がウラン廃棄物貯蔵施設をずさんに管理していた問題で、石田寛人科学技術事務次官は1日、記者会見し、監督が行き届かなかった点を陳謝するとともに、動燃の全事業所の安全管理体制を総点検すると発表した。
石田事務次官は冒頭「国民や関係者の方々に多大なご心配をお掛けしたことを深くおわびする。国民に信頼されるように全く新しい組織に作り替える努力を続けたい」と頭を下げた。その上で、今回発覚したずさん管理問題を踏まえ、動燃が茨城、岐阜、福井、岡山の各県に持つ6事業所すべてについて、管理状況や老朽化対策などを徹底的に調べる方針を示した。
(中日新聞 1997/09/02)