【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
動燃 科技庁に“うそ報告”
ピット上に建物 予算とり実行せず
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所のウラン廃棄物貯蔵施設の放射性物質漏出問題で、動燃は1993年度から98年度までの6年計画で地下式貯蔵施設(ピット)の上に建屋を建てる予算をとっておきながら、実際にはピットの補修に追われ、まったく実行していなかったことが28日分かった。予算の申請と執行内容が5年間も異なったままで、監督官庁である科学技術庁にもうその報告を繰り返していたことが明らかになった。
科技庁に認可された予算の名目は、93年度が「設計費」、94年度が「建屋工事費」、95年度が「廃棄物移転」などと工事が順調に進んでいるような名目になっていたが、実際にはピット外壁の防水工事や周辺の補強工事などが行われた。96年度は「ピット補修」と「補修」名目だが、実際には排水処理をする小型蒸留装置の購入に使われていた。予算総額は約10億円だった。
動燃は科技庁に毎年の概算要求の説明で、予定通り作業が進んでいると虚偽の説明を続けていた。
うそをついた理由について動燃は「93年度予算の時に立てたプランが甘かった。着手しようとしたら、意外に工事が難しかったようだ。だが、新規事業が認められると、翌年からは科技庁にあまり説明しなくてもいいので、94年度以降も、以前の計画のまま申請してしまったようだ。東海事業所からは、動燃本社にも特に報告はなかった」としている。
科技庁では「特殊法人の予算の場合、予算の運用に多少の柔軟性は認められるというものの、明らかに行き過ぎだ」としている。
(中日新聞 1997/08/28)