【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
動燃漏出事故 ドラム缶腐食20センチの穴
茨城県職員会見 ずさん管理に怒り
事故と不祥事に揺れ続けた動力炉・核燃料開発事業団(動燃)がまた、ずさんな管理体質をさらけ出した。26日、明らかになった東海事業所(茨城県東海村)での放射性物質の漏出事故。高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れや再処理工場の火災・爆発事故、その後の虚偽報告など事故や不祥事続きの動燃。周辺住民からは、怒りを超えた失望の声が上がる一方で、いったんは漏出を確認しながら長期にわたって放置してきた科学技術庁に対する不信感が一気に噴き出した。
「貯蔵ピットのマンホールには(低レベル放射性廃棄物の入った)ドラム缶の一部に直径20センチほどの穴が開き、腐食が激しく赤茶けていたり、塗装がはがれたりしていた」 動燃東海事業所の廃棄物屋外貯蔵ピットの管理状況を調査するため同日午後、現地に赴いた同県原子力安全対策課の職員2人は、会見の席で動燃の無責任な姿勢に怒りの声を上げた。
同課によると、2つの貯蔵ピットの中には計5つの槽がある。浸水が激しい槽では3段に積み重ねられているドラム缶(高さ90センチ)のうち、最下段のドラム缶は水没、中段のドラム缶も半ば水没の状態。ドラム缶の一部に開いた穴からは廃棄物の塩化ビニール管も見える状態だったという。
ピット外への放射性物質の漏出について、東海事業所は「ないと考えている」としているが、ピット周辺の2-10メートル離れた土壌3カ所から最大で天然に存在する約20倍のウラン238が検出されていることから、県は早急に適切な処理を行うよう動燃に求めていく方針。
茨城県内には現在、国内の貯蔵量の約3分の1に当たる200リットルドラム缶で約30万本の低レベル放射性廃棄物が貯蔵されている。
今月19日に動燃の新本社移転が決定したばかりの東海村では、午後零時半に職員を現地に派遣したが、アスファルト固化施設の火災・爆発事故に続く動燃のずさんな管理体制にいら立ちを募らせた。
村役場には「放射能が外に漏れているのでは」「避難しなければならないのか」「避難勧告が出たというが本当か」といった村民からの問い合わせが殺到。
この日、須藤富雄村長は出張で留守で、対応した萩野谷博企画課長は「村に何の連絡もないのは残念。本社も村に来ることになったのだから、もっと安全管理を徹底してほしい」と厳しく注文をつけた。
(中日新聞 1997/08/27)