【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
ウラン集める細菌発見 放射性廃棄物処理で利用も
宮崎医科大と原研
日本原子力研究所(原研)は16日、宮崎医科大の坂口孝司教授らの研究グループと原研が共同で行った研究で、水溶液中のウランやプルトニウムイオンを効率よく捕集する性質を持った細菌が発見されたと発表した。
原研によると、細菌は坂口教授らがオーストラリア北部のウラン鉱山周辺の土壌や水から採取した6種類のバチルス属細菌。実験は、ウランやプルトニウムの水溶液に培養した細菌を混ぜ、数分から数十分間かきまぜてろ過した溶液中のウラン、プルトニウム濃度を測る方法で行った。
その結果、一番能力の高い細菌で細菌1グラム当たり約0.6グラムのウランを捕集。同様の働きをする高性能キレート樹脂の2倍近い能力を示した。
プルトニウムについても、四価のプルトニウムイオンを効率よく捕集することを確認。これまで困難とされてきた酸性度の高い溶液からでも捕集できることが分かった。
原研は、細菌を焼却して容易にウランなどを回収できる利点があるため、ウラン、プルトニウムの回収のほか、放射性廃棄物処分の際の放射能閉じ込めにも応用できると期待している。
(中日新聞 1997/05/17)