【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃『ふげん』新たに7件 重水漏れ 微量と判断、報告せず


動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の新型転換炉原型炉「ふげん」(福井県敦賀市)の放射性物質トリチウムを含んだ重水漏れ事故で、これまでに明らかになった12件以外に、平成4年と5年の2年度の間で新たに7件の重水漏れがあったことが19日、分かった。警報が鳴らず、いずれも放射線障害防止法で決められた基準値を下回っていたため、動燃は微量と判断して、これまでと同様、福井県や敦賀市などに報告していなかった
4月の重水漏れ事故で、科学技術庁が立ち入り詞査し、法律に基づいて保管が義務付けられている5年間分の資料を調べた結果、分かった。
7件は平成4年7月から5年11月にかけてで、このうち5件が作業ミスによる。これで「ふげん」の重水漏れ事故は、過去5年間で19件発生していた。
動燃は放射性物質のトリチウムを含む重水漏れ以外の設備異常では、故障個所の補修を担当者に依頼するための文書「故障票」を作成していたが、重水漏れに関しては1件も「故障票」を作っていなかった。
動燃は「すべて基準値以下のため安易に判断した。故障票を発行する基準があいまいだった。重水漏れを隠すという意識はなかった」と話している。
故障票は、「ふげん」の運転監視のために常駐している科技庁の運転管理専門官が、すべて確認する。同庁もんじゅ・ふげん安全管理事務所(敦賀市)の榊原裕二所長は「故障票がないと、報告がない限り事故は把握できない」と説明している。
立ち入り調査は19日で終了。科技庁の松本義幸放射線安全企画官は「今回見つかった放射能漏れは法令上は報告の義務はないが、(報告しなかったのは)動燃の内部規定に照らしても不適切だった。もんじゅの事故を契機に整備した通報体制がもっとうまく機能するようにしてほしい」と話している。

(中日新聞 1997/04/20)