【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
「ふげん」重水漏れ11件も 過去3年間 動燃、報告怠る
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の新型転換炉原型炉「ふげん」の重水漏れ事故で、動燃は16日、平成6年11月からことし1月にかけての過去3年間で今回と同様の事故が12件あったことを明らかにした。いずれも微量と判断して、動燃は福井県や敦賀市への報告を怠っていた。
放射性物質のトリチウムを含んだ重水漏れ事故は、運転中が2件、原子炉を起動する前の準備中が2件、定期検査中が7件。
14日起きた今回の事故では、通常運転中に放出される1週間分のトリチウムが一度に漏れて大気中に放出された。11件のうち、今回の事故を上回る量が漏れたのは警報機器が作動した平成6年12月と7年9月の2件あった。
この2件にとどまらず、全11件の重水漏れすべてについて、動燃は「安全協定に基づき、県など自治体に通報する義務があった」と認めている。
報告を怠った理由について動燃は「環境への影響のない微量だったため、報告する必要がないと思った。『もんじゅ』事故を教訓に厳しくやらなければならないと徹底させたが、認識が甘く、浸透しなかったようだ」と話している。
この日わかったのは事故を契機に作業日誌などをさかのぼって調べた分だけ。平成6年以前の重水漏れについては「ないとはいえない」と説明している。
<トリチウム> 三重水素とも呼ばれる放射性物質。普通の水素に比べて中性子が2個多い。弱いベータ線を出してヘリウムに変わる。自然界では宇宙線(放射線)と大気中の窒素の反応などで生成される。水の中に溶け込んでいることが多い。アルファ線を出すプルトニウムなどに比べると、人体への影響は10分の1程度とされる。(中日新聞 1997/04/17)