【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

動燃事故 爆発的燃焼 分かっていた
71-73年に固化体実験 結果生かされず

爆発事故を起こした動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の再処理工場で使われているアスファルト固化体は、放射性廃液の主成分である硝酸ナトリウムが混ざっているため発熱しやすく、爆発的に燃焼する恐れがあることを、動燃は自主的に行った実験でつかんでいたことが19日までに分かった。
科学技術庁は、火災が爆発にまで進展した事故の流れを解明する重要な手掛かりとして、火災の後にこうした反応が生じなかったかを重点的に調べる方針だ。
動燃はこの性質を確かめていながら、施設の設計、建設では、充てん室内のドラム缶の温度を計測する手だてを取っておらず、試験結果は結局生かされなかったことになる。
実験結果は、動燃が同施設建設前の1971-73年に実施した安全性評価試験の報告書としてまとめられた。
それによると、アスファルト単体では加えた熱が蓄えられるだけだったが、実際の工程と同様に廃液の成分である硝酸ナトリウムを混ぜた試料では、200度から225度でゆっくりと発熱が始まった。
一部の試料では300度付近で発煙、燃焼が始まり、燃えなかったケースでも、硝酸ナトリウムの分解温度である380度から400度付近で、急速に発熱反応が強まった。
発熱は硝酸ナトリウムとアスファルトとの酸化還元反応が原因。酸素がなくても硝酸ナトリウムが酸化剤として働いて反応が持続するため、二酸化炭素の注入による酸欠消火よりも、冷却を兼ねた水による消火がより有効だとしている。
報告書は「熱伝導の悪いアスファルトはわずかな発熱も内部に蓄積していくので、安全の限界温度220度を厳守する必要がある」と注意を促していた。

(中日新聞 1997/03/19)