【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
沈没ソ連潜水艦から放射能漏れ 大西洋の深海底
弾頭からプルトニウム
【ロサンゼルス24日共同】24日付の米有力紙サンフランシスコ・エグザミナーは、1986年にバミューダ諸島沖の大西洋で爆発事故を起こし沈んだ旧ソ連のヤンキー級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦から、核弾頭のプルトニウムが漏れ出している可能性があると報じた。
事故直後、旧ソ連側が行った沈没現場の秘密調査の結果、同艦が積むミサイル16基の核弾頭計32個に用いられていた軍事用プルトニウム239に汚染された残がいを回収したという。同紙は「原潜事故で高濃度の軍用放射能が周辺環境に流れ出したのは初めて」としている。
この調査に加わった核弾頭研究施設の責任者スタニスラフ・ベスノブスキー氏は、同紙に「爆発と、沈没時の高水圧のため、核弾頭が破壊された可能性が高い。壊れた数は確認できていない」と述べた。弾頭のプルトニウムの総量は約90キロという。
事故当時、旧ソ連側も米側も「核弾頭が爆発する危険はなく、放射性物質による汚染も見つかっていない」と強調していた。
ロシアや、事実を知った米側の研究者は「沈没場所は水深5000メートル以上で、海流の影響も少なく広範囲な拡散の恐れは少ない」としながらも「食物連鎖を通じた汚染拡大の危険が懸念される」として、両国の研究機関が協力して本格的な調査を行うよう求めている。問題の原潜は86年10月、大西洋をパトロール中にミサイルの燃料が爆発、その2日後にバミューダ沖東方約1050キロで沈没した。
(中日新聞 1996/11/25)