【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

仏の再処理工場周辺で高濃度の核汚染 仏の学者が講演

使用済み核燃料の再処理をしているフランス北西部ラ・アーグ核燃料再処理工場周辺の河川、放射性物質のトリチウムが、一般環境の約700倍、セシウム137が約160倍の高濃度で検出された──。来日中のフランス・カン大学準教授の物理学者で、民間の研究機関「西部放射能監視協会」(ACRO)代表のダビッド・ボワイエさん(30)が29日、北九州市内でこんな講演をした。核燃料再処理工場の建設が進む青森県六ヶ所村についても、「放射能汚染が日本でも広がらないといいのだが」との懸念を述べた。
ACROなどによると、ラ・アーグ工場は1966年に操業を始め、現在は年間1600トンの使用済み核燃料を処理する。6カ国30社と計9000トンの再処理委託契約を結び、うち約2900トン分が日本との契約という。
93年12月から95年1月にかけ実施した調査では、エ場周辺を流れるサントエレヌ川の水から放射性物質のトリチウムを1リットルあたり最高約700ベクレル検出した。フランス国内の一般環境で検出される値の約700倍にあたる。川底の堆積(たいせき)物からは、放射性物質のセシウム137を、1キロあたり最高約1600ベクレルを検出した。一般環境での値の160倍にあたる。
また、25歳以下のがんに関する診療記録を分析した結果によると、工場から10キロ以内での発症率は、人数あたり国内で平均とされる発症数1.4人に対し2.8倍の4人を記録したという。

(朝日新聞 1996/08/30)