【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

チェルノブイリ事故 高放射能粒子の7割地表付近に
ベラルーシ大調査

チェルノブイリ原発事故で大量に放出された強い放射能をもつ微粒子「ホットパーティクル」が10年後の今も、地中に沈まず70%が地表から3センチ以内にあることが、ミンスクにあるベラルーシ国立大学の調査で分かった。こうした微粒子は、地中では少しずつ分解して植物の根から入りやすい、より小さな微粒子を作っている。また呼吸で肺に入った後は、分解して体内に侵入、蓄積するなど、さまざまなルートで健康への脅威となっている。
原発事故で降った放射性物質のうち1粒で強い放射能をもつものがホットパーティクル(高放射能粒子)。ベラルーシの高濃度汚染地では、放射能の4割が高放射能粒子による。とくに核燃料自体が高温で溶けてできた粒はプルトニウムなどを多く含み、放射能も強い。
ベラルーシ国立大の放射線化学研究者ペトリャエフ教授やレイノワ研究員らによると、高放射能粒子は土などの粒子と結びつき、地中には沈まず、今も70%が表層から3センチ以内、ほぼ100%が10センチ以内にある。「事故直後と同じ。驚くほど小さな移動しかしない」(レイノワ研究員)という。
粒子は次第に地中の物質と反応し、分解してより小さな粒になる。事故直後には直径が0.1ミリ、1000ベクレルの放射能を持つ粒子もあった。この1粒が1リットルのミルク中にあれば、現在のベラルーシの許容基準の約9倍になる。現在は大きなものでも0.01ミリ程度、100ベクレル以下になった。
植物の根がこの粒子を丸ごと吸い込むのは難しいが、小さくなれば根から入りやすく、食物汚染の基を供給し続けている格好だ。

(朝日新聞 1996/04/24)