【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
放出放射能、推計の3倍 甲状腺がんの原因物質は6-7倍
汚染データを再計算 チェルノブイリ原発事故 OECD報告
【ウィーン10日=竹内敬二】10年前のチェルノブイリ原発事故で放出された放射能は、旧ソ連が事故直後に行った推計より3倍も多く、総計で約11エクサベクレル(エクサは10億の10億倍)に及ぶことが分かった。経済協力開発機構(OECD)がウィーンで開催中の国際会議「チェルノブイリ後の10年」に提出した報告書で明らかにした。
最新推計では、希ガスのキセノンが約6.5エクサベクレル、ヨウ素やセシウム、プルトニウムなど健康に大きな影響を及ぼす種類が約4.4エクサベクレルの計約11エクサベクレル(約3億キュリー)となっている。これでもまだ誤差は大きいとされている。
事故直後、旧ソ連は自国内の汚染データなどからの推計で、キセノンなどが約5000万キュリー、その他が約5000万キュリーの計約1億キュリーが放出されたと発表していた。しかし、欧州各国の汚染データなどを考慮し再計算したところ、さらに大きな値となった。
甲状腺(せん)がんを起こすヨウ素131は当初推計の6-7倍である約1.8エクサベクレルとなっている。チェルノブイリ事故では屋根が吹き飛んで炉心が大気にさらされ、高熱による上昇気流で1週間、大量の放射能の放出が続いた。
(朝日新聞 1996/04/11)