【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

チェルノブイリ原発 10-20年で放射能流出?
埋設廃棄物から川に

【ウィーン2日共同】史上最悪の事故を起こしたチェルノブイリ原発(ウクライナ)の敷地内外にある放射性廃棄物を埋めた穴から、今後10-20年で近くを流れるプリピャチ川に放射能が流れ出す恐れが強いことが2日までに、経済協力開発機構(OECD)の報告書で明らかになった。
同原発など旧ソ連製原発の安全性を討議する国際会議が1日ウィーンで始まったが、原発自体だけでなく、周辺環境の安全性も論議の大きな焦点になりそうだ。
流れ出す恐れがある放射能はストロンチウム90。人体に入ると骨髄などに集まり長期にわたって造血器官を侵す性質があり、同報告書は厳重な監視と安全な廃棄物処分の必要性を指摘している。
問題の穴は事故後、緊急に掘られ、放射能で汚染された原発周辺の約8平方キロの土壌や樹木、草をブルドーザーで集めて埋設した。記録が不十分で正確な数は不明だが総計600-800カ所あるという。
これまでの調査では、対象とした43カ所の穴のうち32カ所が水に浸った状態になっており、周辺のいたるところの水から1リットル中4ベクトルを超すストロンチウム90が検出された。
埋設された汚染土壌には、プルトニウムやセシウム137も含まれているが、これらの放射能は地中の移動速度が遅いため、穴のごく近くにとどまっている。
ところが、ストロンチウムは移動速度が大きく、同報告書は一部の穴からは10-20年でプリピャチ川に流れ出す、と予測。下流域の飲料水が汚染される可能性を指摘している。

(中日新聞 1996/04/03)