【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

もんじゅ事故 ビデオの重要部隠す 撮影の動燃、編集し公開

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故で、動燃が事故直後に撮影したビデオを事故の核心部分を隠す目的で職員が勝手に編集し、大半の映像が公開されていなかったことが、20日までの動燃の調査でわかった。未公開部分には、漏えい個所とみられる温度計など、公開部分にない生々しい映像が含まれていた。大石博理事長は同夜、科学技術庁で2度にわたって記者会見し、「意図的に編集したと思う。情報公開を進めなければならないのに、極めて遺憾な事態を起こし、申し訳ない」と謝罪。「関係者の処分も検討している」と明らかにした。
ビデオは事故発生翌日の9日午後4時10分ごろから約10分間、動燃の職員9人が事故後2度目に現場に入った際に撮影した。
動燃は、最初は1分間だけを報道関係者らに公開。その後、4分間のビデオだとして、再度公開した。その際、撮影はカメラ1台で行い、これ以外に映像はないと説明していた。
しかし実際はカメラ2台で、計約15分間分を撮影していた。「未公開部分には温度計以外にも、配管や空調用ダクトに漏れたナトリウムの化合物が積もっている様子など、公開部分にない事故の具体的な様子を伝える映像が含まれていた。
動燃によると、ビデオの編集は現地の「もんじゅ建設所」で行われた。同建設所の佐藤勲雄副所長もこの事実を知っていたという。
大石理事長は「本社には編集の事実は伝えられていなかった」と話している。

(朝日新聞 1995/12/21)