【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

北朝鮮ウラン精練工場 白血病や肝炎がまん延
亡命の元労働者が証言

【ソウル9日=清田治史】

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のウラン精練工場から亡命したキム・デホさん(35)は9日、ソウル市内で内外記者団と会見し、「ウラン精練工場では、放射能対策の遅れから、白血病や脱毛症、肝炎などにかかる労働者が多い」と証言した。
キムさんは1985年に除隊後、平安北道のウラン精練工場である「四月企業所」に勤務。87年にはやはりウラン精練などを行う黄海北道の南川化学連合企業所に移り、ことし1月まで勤めた。
放射能被害がとくにひどかったのが南川連合企業所(労働者8000人)。ウラン鉱石を破砕し、ウランのほか、特殊鋼製造に必要なパナジウムなどを抽出している。
パナジウム抽出は熱せられた鉄板上で硫酸を注ぐという原始的な工程を採用しており、キムさんによると発生する硫酸ガスのため、肺と歯に致命的な障害を負う労働者が続出している。
南川連合企業所などで生産された濃縮ウランは、寧辺にある再精練工場「八月企業所」に送られるが、ここでも放射能被ばくが常態化している、という。

(朝日新聞 1994/05/11)