【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
土壌からプルトニウム検出 仏の放射性廃棄物置き場
高レベル コンテナ野積み
【パリ=清水特派員】
フランスで放射性廃棄物置き場の土壌からプルトニウムが検出され、事態を重視したラロンド環境担当相が現地を視察した。検出されたプルトニウムはきわめて高レベルと伝えられるだけに、国内関係者は驚いている。
10月24日付フランスの新聞パリジャンによると、場所はパリ南方75キロにあるエソンヌ県サントバン。コンクリート製のコンテナが野積みになった現場から取った約4キロの土壌を、ドイツ・ブレーメンの大学で分析したところ、プルトニウム238が土壌1キロ当たり98.3ベクレル、プルトニウム239と240が2153ベクレル検出された、という。同大学ではただちに研究室の除染作業を行った。現場から数百メートルにはサクレイ原子力研究センターがある。
現場では、十数年前から、各種の放射性廃棄物を詰めたコンテナが捨てられていた。コンクリートに亀裂が入ったものもある。一般は立ち入り禁止だが、9月下旬、放射線測定器を持ったパリジャンの記者が侵入、土壌を採取した。フランス国内の研究所の分析で、これまでに放射性のセシウム、バリウム、コバルト、ユウロピウム、ウラニウム、アメリシウムなどが検出された。アメリシウムの存在で、プルトニウムの検出が予想されたため、土壌をドイツに送っていた。
フランス原子力庁の幹部は、「この数字は驚きだ。ユウロピウムとセシウムの存在は分かっていたから、プルトニウムも予想はできたが……。とにかく、事実をたしかめる必要がある」と語っている。
「想像を絶する値」 動燃事業団
動力炉・核燃料開発事業団によると、日本では原子炉等規制法によって1平方センチ当たり4ベクレル以上のプルトニウムが検出される場合は立ち入り制限区域とすることが決められているが、実際は環境中からその数百分の一程度でも検出されれば、大騒ぎになるところで、2000ベクレルというのは想像を絶する数値だという。
(朝日新聞 1990/10/25)