【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

スペイン 原発タービン爆発 冷却装置に大被害

【ロンドン支局23日】英フィナンシャル・タイムズ紙が23日付早版で伝えたところによると、スペイン・バルセロナの南タラゴニアに近いバンデロス原子力発電所1号炉で2基のタービン発電機の1基が19日夜に爆発、原子炉の冷却装置に大きな被害を与えた。技術陣は22日も炉心の冷却に努めたが、ケガ人もなく、放射能漏れもなかった、という。
事故の際、中央制御室から工場に煙が漏れたため、炉心冷却用ポンプ4つのうち2つの始動がほとんど不可能となった。当局者は同紙の取材に対し、この事故が1986年のチェルノブイリ事故以来最も深刻な事故だと語ったとされるが、ケガ人も放射能漏れもない事故が、なぜ最も深刻なのかの説明は伝えられていない。
この原子力発電所は72年フランスの技術授助で建てられたスペインで最も古い発電所の1つ。もともと西暦2003年に閉鎖の予定だったが、今回の事故で閉鎖となり、操業再開は無理とみられている。なおフィナンシャル・タイムズ紙は、遅版ではこのニュースを報道しなかった。



OECD(経済協力開発機横)から通産省に入った連絡によると、この事故は2台のタービンのうち片方で火災が発生したもので、その結果、タービンが2台とも自動的にストップ。これに伴って原子炉も自動的に止まったが、補助給水ポンプを動かして原子炉を冷却し、大事には至らなかったという。
同省の今永隆・原子力発電運転管理室長は「外部への放射能漏れや従業員の被ばくもなかったと報告されている。タービン火災という事故は起こったが、安全装置がうまく働いたと認識している」と話している。


(毎日新聞 1989/10/24)