【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
チェルノブイリ事故で住民に染色体異常
「当局がデータ隠す」ソ連週刊紙が報道
【モスクワ11日共同】
11日発売のソ連の週刊紙モスクワ・ニュースは1986年のウクライナ共和国でのチェルノブイリ原発事故に関して、隣の白ロシア共和国では住民の間で染色体異常や免疫異常などの人体への影響が確認され、特に汚染地域では貧血症、子供の甲状腺(せん)肥大などの病気が増えていると伝えた。
「大きなうそ」と題された記事は、白ロシア出身の作家であるアダモビッチ人民代議員や、ウクライナの地元汚染地区の党第一審記ら4人の座談会をまとめたもので、当局が依然として同事故のデータを隠していると批判した。
記事は、事故発生の責任を問われて87年7月に矯正労働10年の実刑判決を受けたブリュハーノフ前同原発所長ら3人の幹部のうち、既に1人が死亡、1人が重い放射線障害にかかっていると伝えた。
しかし、具体的な死因や3人のうちだれが死亡したかなどには触れていない。
また、ソ連最高会議発電・核安全問題小委員会のシェルバク委員長は、ソ連専門家の推定として、3年半前の同事故で大気中に放出された放射能の量はソ連が公式に発表した5000万キュリーではなく、10億キュリーと明らかにし、64億キュリーと推定する専門家もいると述べた。
また、健康面への影響では、ウクライナのナロジチ地区では甲状腺肥大などのため健康な子供は事実上いないと同地区のブジコ第一書記は強調した。
第一書記はことし中に338家族の移住を上部当局が約束したが実行されず、1平方キロ当たり170キュリーの汚染だった村では学校の建設が進んでいると暴露した。
また、白ロシア共和国は先に汚染地域からの10万人の移住を決定したが、移住の経費が当局にないという。
(毎日新聞 1989/10/12)