【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

高レベル放射性廃棄物 研究、処分施設は不可分 動燃内部資料


動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、留萌管内幌延町に建設を計画している高レベル放射性廃棄物貯蔵・研究施設(貯蔵工学センター)とともに、岩手県釜石市の釜石鉱山から同社有地に高レベル放射性廃棄物処理技術の地下研究施設を建設するよう誘致要請を受けているが、同研究施設は実際の最終処分施設の近くに置くべきだとの方向で動燃が討議をしていたことが28日、内部資料などで明らかになった。


動燃はまた釜石市などに対し「放射性廃棄物(核のゴミ)の処分地の選定は自らに権限はない」としていたが、化学技術庁の研究開発計画では動燃が処分選定のための調査の中心的役割をすると位置付けられていることも分かった。このため、釜石市の住民らは「地下研究所を誘致すれば最終処分地を押し付けられるのではないか」と不安を強めている。


内部資料は動燃が日本原子力産業会議に研究を委託、昨年9月にまとまった「地層処分に関する社会・経済的評価調査研究の概要」。これは処分地選定について「地層(処分)施設と同一条件下で研究と技術の実証を行い、これを地層処分に絶えずフィードバックすることが望ましく、このため地層(処分)施設に隣接して地下研究施設を置く」と提言している。


動燃は実現の可能性やそのプロセスなどについて内部討議を加えているという。
一方、科学技術庁原子力局が昭和61年11月にまとめた「地層処分研究開発五カ年計画」には、動燃は「地層処分の開発プロジェクトの中核推進機関として、処分予定地の選定のための調査を進めていく」と位置付けられており、動燃は処分地選定作業に深く関与する役割を担っている。


動燃は留萌管内幌延町にも地下研究施設を含む貯蔵工学センター構想を掲げているが、橋本好一理事は「幌延や釜石の研究施設は、最終処分地を決定する前段として、国民に理解を得てもらえるよう技術を確立するのが目的。原産会議のリポートは、いろいろな考え方を出してもらったうちのひとつにすぎず、将来、処分地が決まった後、その近くに研究施設も必要-という意味に理解している。現段階で最終処分地の選定にすぐ入れるとは思っておらず、いま考えている研究施設と原産の報告にある研究施設は直接結びつくものではない」と話している。


(北海道新聞 1989/08/29)