【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
チェルノブイリ原発事故被災地 植物が異常生長
保護区設け追跡調査 タス通信
【モスクワ14日=新妻特派員】
ソ連国営タス通信が14日伝えたところによると、3年余り前のチェルノブイリ原子力発電所事故で、住民が避難した白ロシア共和国の3つの被災地区に、国の特別保護区を設けることが決まった。この地区の植物、魚類、動物に放射能による異常や影響がみられ、動植物界の現状と今後の変化を追跡調査していくためとしている。
1986年4月下旬の事故発生の初期の段階で、チェルノブイリ原子力発電所から半径6、7キロの範囲にあるマツとモミが強い放射能を受け、大きな被害を受けた。「今後、1000ヘクタールの森林が死滅するだろうと予測されている」としている。
3-4.5グレイの放射能を受けたいわゆる「傷ついた森林」では、マツに異常な現象が出ている。マツの葉の形には変化はないが、その数が通常の10倍近くになっている。また、「赤茶けた森」と呼ばれている死にかけた森林との境界地帯では、マツの葉が異常に大きくなっているのをはじめ、アカシアの葉が子供の手のひらの大きさになるなど多くの植物に「異常生長」が観察されている。
さらに、貯水池の底には放射性物質がかなり蓄積されている。白ロシア共和国の魚類学者たちは水の中に住む無脊椎(むせきつい)動物や魚類を調査した結果、カマスに似た淡水魚、スズキ類に、多量の放射性物質が蓄積していることも明らかになった。
また、ウグイとコイの場合、肝臓は放射能汚染がひどく、これに比べ皮膚、骨、筋肉はその度合いが少なかった。
一方、地上に住む動物では、ハリネズミとトガリネズミに放射性物質の異常に高い集中が観察された。
鳥類での放射能汚染のトップはコガモ、マガモだ。ほ乳類ではイノシシ、キツネ、ウサギにより多い放射性物質が認められ、オオシカ、ノロ、オオカミは少なかった。「これまでのところ、動物たちの行動には放射能が原因とみられる異常は観察されていない」と付け加えている。
(朝日新聞 1989/08/15)