【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
米原子力施設の周辺 赤ちゃんに奇形続出
健康被害調査で分かる
【ワシントン=共同】
米エネルギー省はこのほど開かれた上院政府活動委員会に軍用原子力施設で働く労働者の発がん、死亡率についての内部研究資料を初めて提出、労働者の発がん率が異常に高いことを公式に認めた。この資料によると施設周辺で生まれた赤ちゃんにも先天的奇形などが続発。第2次世界大戦中から健康被害がなおざりにされていた実態と合わせ、改めて原子力の安全性が問題になりそうだ。
同委員会に提出された資料は2国立研究所、4核兵器製造工場、2核物質生産工場、3濃縮工場の労働者と、第2次大戦中の「マンハッタン計画(原爆製造計画)」に従事していた人の健康被害を科学的に調べた30編の研究文献。
委員会は“要約”を一般に公開した。それには、ハンフォード核物質生産工場では周辺住民にも被害が及び、1968-80年に生まれた赤ちゃん2万3319人のうち、1.9%に当たる454人に神経網欠損などの先天性奇形が出ていた。
また同工場の約2万人の従業員のうち「統計的に有意な数」の骨髄腫(しゅ)やすい臓がんの発生がみられ、勤めていた夫婦から生まれた赤ちゃん12人のうち2人に、低レベル電離放射線を被ばくしたことによるとみられる先天的な欠陥が見つかった。
(朝日新聞 1989/08/04)