【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

自然界にない核生成物 東海村の周辺に
海藻から検出 動燃は関係否定


茨城県東海村付近の海藻から、科学技術庁放射線医学総合研究所那珂湊支所(同県那珂湊市)の測定で、自然界には存在しない核分裂生成物のテクネチウム99が検出された。東海村には動力炉・核燃料開発事業団の再処理工場があるが同研究所の測定に対し、動燃は「排水からはこれまで検出されていない」と関係を否定している。


検出は、テクネチウム99の検出方法に関する平野茂樹主任研究官の研究として昨年10月、広島市での放射線影響学会で発表された。茨城県から千葉県までの海岸沿い5カ所で、海藻のアラメに蓄積されたテクネチウム99の濃度を、平野主任研究官らが開発した方法で測定した結果、東海村に近い那珂湊市から、1キロ当たり640ミリベクレルが検出された。大洗町では82ミリベクレル、日立市では20ミリベクレルで、北茨城市と銚子市では検出されなかった。また、那珂湊市の海水からは、1立方メートル当たり最高226ミリベクレルのテクネチウム99が測定された、としている。


テクネチウム99は核爆発実験などで生成されるもので、半減期は約21万年。英国の再処理工場の排水の中から検出されて問題となったことがあるが、放医研では東海村の原子力施設との関連を目的とした研究ではないことから、因果関係については明言できない、としている。一方、動燃東海事業所は平野主任研究官の発表後、再処理工場からの排水を調べたが、検出限界(1立方メートル当たり37ベクレル)以下で、測定できなかったという。
茨城県環境局は「発表データからは人体への影響はないと考えられる。今後の研究の推移を見守りたい」と話している。


(朝日新聞 1989/03/14)