【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

一部塗りつぶし公開 敦賀市 原発事故報告で


敦賀市(高木孝一市長)が「高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会」の請求に応じて、このほど文書公開した日本原電敦賀原発1号機の原子炉自動停止事故(10月)に関する資料の一部が、故意に黒く塗りつぶされていたことが15日分かった。同市は「県と協議して一部を公開しないことにした」と説明しているが、市民の会側は「せっかく公開しても肝心な所が隠されるのでは不安が増すだけ」と強く反発、近く改めて敦賀市に同資料の全文公開を求める意向だ。


この資料は、事故後に日本原電が安全協定に基づき敦賀市と県に提出した23ページにわたる事故報告書で、塗りつぶされていたのはそのコピー。
原因調査などが書かれた本文の5ページ分はそのままだったが、添付資料の12ページにわたる原子炉圧力、原子炉水位および給水量などのデータが入った専門的部分はページの全部または一部が黒く塗られ判読できなくなっていた。


同市原子力安全対策課によると、市民の会から10月末、資料公開を請求されたが、敦賀市には情報公開制度がないため同制度のある県に相談。県では、事故報告書をそのまま公開すると同県公文書公開条例7条(公開しない公文書)の規定に反すると判断し、日本原電の機密に属する部分は公開しないようにとの見解を敦賀市に伝えた。同市はこれに基づき、機密部分を黒く塗りつぶした報告書コピーを今月8日、市民の会に回答したという。


市民の会の磯辺甚三代表委員は「原子力問題はとにかく秘密主義すぎる。市や県との安全協定で報告義務があってもすべて公開されないのでは何にもならない。市は原発会社のいいなりだ」と敦賀市の姿勢を厳しく批判している。


この問題について高木市長は「あくまで県の主導で決めたこと。私としては市民に対し隠そうという気持ちは全くないが、企業ノウハウなど公開できない技術的な秘密もあると思う。全文の公開を求められても応じられるかどうか分からない」と話している。


(福井新聞 1987/12/16)