【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
ソ連原発事故後遺症 欧州で70年間に死者4000人 米政府報告
【ワシントン6日=石田特派員】
ソ連チェルノブイリ原発事故に関する米政府の特別調査団(団長=ハロルド・デントン米原子力規制委員会規制局長)は6日開かれた原子力規制委員会に独自の事故報告書を提出した。それによると、今後70年間にソ連で1万人以上、ヨーロッパでも4000人のがん死者が出るほか、ソ連で知恵遅れのこどもが大勢誕生しているはず、と健康への深刻な影響を指摘している。チェルノブイリ事故について米政府が報告書を出したのは初めて。
報告書で特に注目されるのは、住民の健康への影響。それによると、原発から30キロ以内の住民は素早く避難した人たちも含め平均30-40レムの放射線を浴びている、として計320人が甲状せんのがんで死亡するだろう、という。これは住民1000人中2.4人に相当する。
ソ連全域では放射能が広がったヨーロッパ側を中心に7500万人が被ばく。食べ物を通じて放射能が体内に入る影響も合わせると、今後70年間で1万人を上回る死者が出る、とみている。これらの推定は、昨年ウィーンで開かれた国際原子力機関(IAEA)の専門家会議にソ連が出した報告書や、100万人が全身に1ラドの放射線を浴びた場合、200人が死亡する、という全米科学財団(NSF)の研究をもとにはじき出している。
ヨーロッパでのがん死者は10カ国以上で計4000人を超すものと報告書は述べている。西側の専門家はソ連の報告書をもとに、ヨーロッパでの死者を2000人と推定していたが、今回の予測はその2倍と、ヨーロッパでの影響を大きくみている。
(朝日新聞 1987/02/07)