【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

初期の原子炉格納容器に警告


【ワシントン3日=共同】

米国や日本で初期に造られた沸騰水型原子炉(BWR)に、炉心を収納している格納容器が重大事故によって破壊される恐れが出ており、米原子力規制委員会(NRC)が格納容器の改善策を検討していることが3日、明らかになった。


これはNRCのハロルド・デントン原子炉規制部長が同日、共同通信との単独会見に応じて表明した。
格納容器に破壊の恐れがあるとの指摘は、これまでの原子力安全行政の考え方を覆すもので、日本にも深刻な影響を与える可能性もある。


格納容器は床や圧力容器遮へい壁などに大量のコンクリートが使われているが、NRCが検討した結果、炉心が溶融し炉心部が圧力容器の底を突き抜けるような事態が発生すると、コンクリートと高温の溶融炉心が反応。炭酸ガスや一酸化炭素が大量に発生し、この圧力で格納容器が破壊される危険性が浮かび上がってきた。
デントン部長によると、格納容器破壊が最も心配され、NRCが改善策を検討しているのは、BWRのうち最も初期の型であるマーク1型格納容器。


米国内には23基のマーク1型炉があり、このうち2基には、事故時にガス圧を下げるガス放出設備が格納容器の圧力抑制タンクに取り付けられた。


デントン部長は「この2基の研究結果を検討したうえで、来春、マーク1型炉に安全対策のための改善命令が新たに必要かどうかを決定する」と語った。


マーク1型炉は、日本にも多数導入されており、東京電力福島第1原発1-5号機、中部電力浜岡原発1、2号幾、日本原電敦賀原発1号機、中国電力島根原発1号機、東北電力女川原発の計10機が同型である。


(朝日新聞 1986/12/04)