【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
敦賀原発トラブル エネ庁が事故隠し指示?
衆院科技委で小沢氏(社)追及「自治体報告に圧力」
電力会社の監督官庁である通産省資源エネルギー庁が、原発のトラブルを隠す工作をしたと受けとれる内部文書が、27日開かれた衆院科学技術委員会で明るみに出た。小沢克介委員(社会)が暴露したもので「通産省が電力会社に事故隠しを指示したものだ」と追及、資源エネルギー庁はこの日の答弁では「承知していない」と突っぱねたが、小沢委員は「指示した役人の名前も記載されている」としており、今後重大な問題に発展しそうだ。
小沢委員が入手した文書は、福井県敦賀市にある日本原子力発電会社・敦賀原発1号機(沸騰水型、出力35万7000キロワット)と同2号機(加圧水型、同116万キロワット)で発生したトラブルに関し、同社のスタッフと資源エネルギー庁担当官が公表をめぐって協議した時のメモ。今年10月14日付で、同日午前11時50分から行われた同庁での双方のやりとりなどが記載されている。
小沢委員によると、トラブル発生の事実関係は(1)同1号機では10月12日午後5時ごろ、制御棒を水圧で炉心に挿入するための「制御棒駆動水ポンプ」が止まった(2)日時ははっきりしないが、やはり同1号機で緊急炉心冷却装置(ECCS)の1つである「蓄圧注水系」に故障が発生(3)これも日時はわからないが、同2号機で原子炉の出力変動を示すトラブルがあった──の3件。
これについて、日本原電が地元福井県と敦賀市への詳細報告をするために、報告書案を持って同庁に相談したことを示す文書の中で、同庁担当官は「(1)の報告書はそのままでOK(2)のトラブルは非公開を(地元に)主張すること(3)の報告書記載は細かすぎる。プラントの挙動が明らかになるのは困る」などと、日本原電側に指示したという。
日本原電は(1)(2)の指示については了承した。しかし(3)については同2号機が完成して間もない試験運転中のため「地元に提出する報告書書式が決まっており、訂正は困難」と反論した。このため同庁担当官は「今回はこのままでよいが、来月以降詳細は別添えにするよう検討して欲しい」と要求、日本原電側も「難しいが、検討する」と答えたという。
小沢委員はこのような内容のメモを読み上げながら「トラブルの事実と、通産省指導を知っているか。通産省は日本原電が地元に公開すべき資料にブレーキをかけている。事故隠しを指導していると受け取れる」とただした。これに対し資源エネルギー庁の杉原誠・原子力発電運転管理室長は「(1)のトラブルは承知している。しかし(2)(3)のトラブルの事実と、当庁と日本原電の事前相談については承知していない」と答えた。同委員は「知らないでは済まされない。担当官の名前も分かっている」と追及したため、同庁の神田淳・原子力発電安全管理課長が「事情を調べて報告する」と調査を約束した。
(毎日新聞 1986/11/28)