【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
作業ミス、あわや核爆発 米のプルトニウム工場 操業停止
【ワシントン10日共同】
米ワシントン州リッチランドにある米政府の再処理施設で先月末、核爆発の危険に発展しかねない作業ミスがあり、エネルギー省が操業停止を命じたことが10日明らかになった。
この施設は、同省所管のハンフォード再処理施設で、核兵器用プルトニウムを生産している。事故が起きたのは9月29日。再処理工場でウランと分離されたプルトニウム溶液を貯蔵タンクに送り込む際、作業員のミスにより既にプルトニウム溶液で満たされているタンクに流し込んでしまった。
プルトニウムは、一定の濃度以上になると臨界と呼ばれる核分裂反応が自然に続く状態になる。放置しておけば核爆発の危険が生じるため、プルトニウムを扱う施設ではプルトニウムが一定の濃度以上にならないよう厳しい基準が定められている。
エネルギー省によると、安全基準を超すプルトニウムがタンクに送り込まれたが、作業員が途中で気が付き作業を中止したため大事には至らなかった。
しかし、この事故は、5段階ある危険度ランクの4(最悪は5)に相当する重大なミス。運転停止期間は、運転を委託されているロックウェル・ハンフォード・オペレーションズ社が、事故防止対策を同省に提出するまで続くとみられる。
(日本経済新聞 1986/10/11)