【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

ソ連原発事故 瞬時に燃料棒破裂 炉心爆発誘う
西側代表団新事実明かす



ウィーン27日=友清特派員】

ソ連原発事故に関する国際原子力機関(IAEA)の専門家会議に出席している西側代表団筋によると27日、ソ連代表団は事故の詳しい解析結果から、炉心溶融が起こる間もなく、燃料棒が連鎖反応の急激な拡大で高温になり破裂、これが炉心の水蒸気爆発と放射能放出につながった、という経過を明らかにした。燃料棒破裂は出力の異常上昇の4秒後という短時間に起こっており、いったん破裂への反応が進み出すと、手がつけられない事態となった。これまで原子炉の放射能大量放出事故には、炉心溶融が前提とされていたが、燃料棒の破裂は、これまでの事故想定にはなく、死の灰の大量放出でも新現象が起こった、とみられている。


ソ連によると、事故炉は、4月26日の午前1時23分40秒から出力が急激に上昇した。4秒後には、定格最大出力の100倍に達し、瞬時に燃料棒の被覆管が破壊され、燃料が粉々になって周囲の冷却水に飛び散った。このため水は一挙に加熱されて最初の水蒸気爆発が発生した。さらに発生した水素と一酸化炭素が爆発、強い放射能を帯びた粒が舞い上がった、としている。


これまで西側では、事故炉から放出された死の灰の中に摂氏2500度程度の高温で蒸発したルテニウムの放射性微粒子が欧州で見つかっていることなどから、炉心は高温で広範な炉心溶融が発生したのではないかとみられていた。しかし、ソ連の報告書では炉の温度は1500度程度までしか上昇していない、としている。


(朝日新聞 1986/08/28)