【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
冷却水流失事故で原子炉破裂の恐れ 米の研究で明らかに
【ニューヨーク20日=共同】
加圧水型原子炉(PWR)で冷却水流失事故が発生した場合、急激な温度変化によって原子炉圧力容器が傷み、将来、圧力容器破裂という大事故に発展する恐れのあることが、米原子力規制委員会(NRC)の委託によるオークリッジ国立研究所の研究で明らかになった。
「加圧下における熱衝撃評価」と題するこの研究は、米原子炉メーカー、バブコック・アンド・ウィルコックス(B・W)社製の加圧水型炉を対象とした第一段階のものだが、同社製以外のPWRに共通する問題である。
日本では現在PWR10基が稼働している。
原子炉圧力容器は厚さ30-40センチの鋼鉄製で、炉心から出る中性子の照射を絶えず受けている。この照射によって鋼材はもろくなり、容器の内側に小さなひび割れが出来やすくなる。特に鋼材に不純物が多く含まれている場合には、照射によるぜい弱化が起こりやすい。
報告書が問題としているのは、冷却水流失事故などで緊急炉心冷却水を圧力容器内に注入した場合、温度が急激に低下することにより、このひび割れが一挙に拡大する恐れがある点。
解析は、ひび割れ拡大の引き金となりそうな冷却水流失事故や主蒸気管破断事故など6つのケースについて実施された。
その結果、小規模な冷却水流失事故では、ひび割れが拡大、そのまま運転を続けると、原子炉の寿命が来る前に、圧力容器が破裂するような大事故になる
ことがわかった。
(朝日新聞 1981/11/22)