【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
スリーマイル島原発事故後、新生児の死亡率上昇
周辺の風下地区
【ニューヨーク23日共同】
米ピッツバーグ大学のアーネスト・スターングラス教授(放射線物理学)はこのほど、
スリーマイルアイランド原子力発電所事故(1979年3月28日)の発生直後から、
風によって放射能がまき散らされたペンシルベニア州、ニューヨーク州北部などの地域で、
新生児の死亡率が40-50%も異常に急上昇した──との研究報告をまとめ、
23日付の週刊誌「ネーション」に掲載した。
事故当時、ペンシルベニア州保健局長だったマクレオド同大学教授も、
スターングラス教授と同じような研究報告を行っている。
スターングラス教授は当時の天候と、米保健統計局発表の新生児(1歳未満)の死亡率を比較した。
通常冬から春にかけて新生児の死亡率は下がる。
79年のペンシルベニア州の場合は新生児の死亡者数は1月の216人から2月147人、3月は141人に減ったが、4月は166人、5月は198人と異常に急増した。新生児1000人当たりの死亡率は1月16.5人、2月12.4人、3月10.4人に下がったが事故直後の4月は13.3人、5月は15.0人と増加した。
またニューヨーク州をみると、放射能排出時には同原発の方向から風が吹いていなかったニューヨーク市を除く地域の新生児死亡者数は3月と5月比較で同121人から184人に増加。逆にニューヨーク市内の死亡者は136人から129人に減少した。事故当時風下になったメリーランド州でも同じ比較で39人から49人に26%増(出生者数は逆に微減)。しかし風下にならなかったニュージャージー州、オハイオ州では減少した。
スターングラス教授は放射性廃棄物のうち特に同原発から排出された放射性のヨード131と133によって呼吸器系統などの発育に障害が起こり、生後も十分な成育ができず、死亡した可能性が強いと指摘している。
(毎日新聞 1981/02/25)