永井路子著「北条政子」を読みました。
著者の永井路子さんは歴史上の女性を主人公に据えた歴史小説や評伝を多く執筆されています。
物語は北条政子21歳から始まります。
最初に書かれるのは後の夫となる源頼朝との馴れ初め。
この辺りは細やかな恋愛感情を描いており、女性の生き方を多く描いてきた永井さんの本領発揮ではないかと思います。
そして夫婦となってからは軍事、政治を夫人、母親の視点で描いています。
頼朝の旗揚げ。
木曾義仲の反乱とその鎮圧。
義経との対立と討伐。
頼朝の死。
北条家と比企家、重臣の権力争い。
2代将軍頼家の暴挙と失脚。
3代将軍実朝、甥の公暁に暗殺される。
事実上の源政権終焉。
頼朝については日本史の教科書にかなり細かく業績などが書かれていますが、2代将軍頼家、3代将軍実朝についてはそれほど詳しく取り上げられてはいません。
どちらかというと将軍にしては平々凡々とした人物であまり良い評価ではない、ということくらいでしょうか。
この作品では政子の生涯のなかで頼朝だけでなく頼家、実朝がどういう位置付けでどんないく末を送ったのかが書かれています。
色々な騒動に翻弄される政子ですが、何をすべきかを見極め、悲嘆にうちひしがれることなく立ち向かうところが現在に描かれる女傑のイメージにつながる、というところがわかります。
知っているようで知らなかった鎌倉幕府、将軍家の系譜について知ることのできる作品だと思いました。