映画「グリーンブック」 2018年度作品 | 小川村塾ブログ

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映画を観るまで グリーンブックというガイドブックがあったことも知らなかった。

しかも、それが黒人旅行者を受け入れるホテルやレストランなどの一覧が掲載された本のことなど当然知らなかった。

 

そして映画を観て自分がいかに幸せなのかを知った。

 

映画は1960年。

天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーがイタリア系男、トニーを運転手兼マネージャーとして 雇い、当時あえて黒人差別の強い南部でのピアノコンサートツアーを行うという実話に基づいた映画。

 

テーマの1つは現在も根強く残っている人種差別。

1960年当時のアメリカ。

リンカーンが奴隷解放宣言をして約100年経ったアメリカの南部では依然として黒人差別が行われていた。

 

その南部へピアニストとして演奏旅行をするのだからドクター・シャーリーはピアノ演奏では拍手をもらうが、演奏以外では黒人扱いなのでひどい仕打ちを受ける。

 

彼はカーネギホールの上階の高級マンションに住んでいる高名なピアニスト。

それなのに、何故あえて黒人差別の強い南部でコンサートを行う計画を立てたのか。

 

それが2つ目のテーマではないかと思う。

答えは語られないが。

 

人種差別を扱った映画「シンドラーのリスト」「戦場のピアニスト」と違う。

そこが同じ人種差別を扱った映画なのに観ている時に変な重さがなくまた後味がよい。

 

それはどうしてか。

それは、ドクター・シャーリーは自分から黒人差別のひどい渦の中に飛び込んで行った。

自分からひどい差別を受けるような機会を作った。

 

高級マンションに住んでピアノの演奏をして豊かに暮らすことができる。

それなのに何故か。

 

山崎豊子著「二つの祖国」の匂いがする。

日本人なのにアメリカで育ち、アメリカ人からはアメリカ人とは見られず。

日本人からは日本人と見られない。

 

それと同様なことがドクター・シャーリーにもあったのかもしれない。

黒人なのに富裕層。

普通の黒人からは黒人とは違うと思われる。

そして、ピアノ演奏の能力は認めるが、他は普通の黒人扱いをされる。

 

どっちの人間にもなれていない。

自分は何なのだろう。

そう思ったのかもしれない。

 

自分を見つけたい。

そんな気持ちがあえて黒人差別の強い南部でのピアノ演奏旅行を計画したのだろう。

 

とにかく淡々として物事が進んでいくが2人の関係が強まっていくのが分かり、最後は気分よく観終えることができる映画。

 

差別はどうしても起こる。

差別なんかないと言っても

それはきれいごとで、些細なことで差別は起こる。

 

人種、階級、障害、能力、財力、あらゆることが差別の対象になる。

差別は常に起こっている。

 

しかし、日本にいる限り日本人同士での人種差別は感じない。

部落差別があると言われるが、当事者は深刻な問題だろう。

しかし、表立って叫ばれることはない。

しかし 島国から外へ出た時には大きく感じる。

 

人種差別は受けてみなければ分からない。

今いる環境から出てみなければ分からない。

日本の中にいる限り人種差別はあまり感じられない。

日本という国、島国から出て海外へ行ってはじめて分かる。

そして、差別はいけないということも痛感する。

 

2024/07/28