壁にかかっている絵が、少し斜めになっていると、気になる。
整然と並んでいる机のひとつが、少し列から外れていると、気になる。
これらのようなことは、通常、人間が、または日本人が持っている本質と考えてよいだろう。
そして、これらは直さないと気が済まない。
並んでいるものがあれば、ひとつでも乱れたものがあると、周りと同じようにしようとする。
日本人は、そのような教育を受けてきている。
調和を乱さないことが美徳である。
雑然と乱れた状態にあるものは、そのこと自体が調和が取れていると考える。
周りと同質であることが重要となる。
つまり、異分子が気になるようになっている。
いい意味で、周りを気にする。周りの空気を読む。
悪い意味で、自主性がない。個性がない。
これが、日本人の本質とすると、壁の絵が斜めになっているのは、気になるはずだ。
絵は壁の縦の線と横の線から、ずれていることになり、調和が取れていないことになる。
周りと異なるのが、絵ということになる。
その異分子が、気持ち悪さを引き起こす。
だから、絵の斜めを直そうとする。
そして、それは異分子を排除する行為となる。
異分子を排除する日本人の本質となる。