映画「八日目の蝉」 | 小川村塾ブログ

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「八日目の蝉」
 題名は洒落ている。
 マスコミでいろいろ取り上げられている。
 そこで、映画を観た。

 テレビの映画宣伝スポットだけで、原作も読んでいない、映画を観ただけの感想は「退屈」だった。
 最後には目がウルウルしてしまったけれど。
「女の人じゃなければ分からない」
 と家人には言われた。
 
 もう少し、繊細に映画を作ってくれたならば、その女の人じゃなければ分からない所が分かったのかも知れないけれど、ちょっと腑に落ちないところがあって分かりにくい。

 そのひとつが、この映画のキーポイントである、赤ん坊を誘拐するくだり。
 あんな小さな赤ん坊を一人にして、置いて行っちゃうんだ、という気持ちがズーッと心の中で叫び声をあげていた。
 原作では、きっと、しっかり理由が書かれているのだろうけれども、原作を読んでいるわけじゃないから分からない。
 ただ、すごく雨が降っているから、としか分からない。
 そこで、すっかり、しらけて映画をずっと観ていくことになってしまう。

 最後の方で、母親が包丁を持って、なぜ子供をあの時、置いていってしまったのか、語る場面があるけれど、そこで理由が分かっても、もう遅いよ、という感じ。

 肝心の赤ん坊を置いて家を出て行くシーンに、雨がひどく降っているから、少しの時間だから、仕方なく赤ん坊を置いて行くんだということを観客に分からせるようにしてくれなければ、困る。
 そうでなければ、納得できないまま映画を観てしまう自分みたいな人も出てしまうのではないだろうか。

 そんなにむずかしいことじゃないと思うんだけれども。
 父親が会社に遅れてしまう。
 外は雨が激しい。
 急いで駅まで送っていかなければならない。
 そんなことが分かるようにすることなんか、簡単にできることだと思うのだけれど。

「駅まで近くなんだから、雨が降っているので、時間がない、送ってくれ」
 という言葉だけでもあれば、それだけでいいと思う。
 それだけでも違ってくると思うんだけれど。

 ただ、上手い俳優さんが出ると、それだけで映画が引きしまる。
 それは分かった。

 そう感じたのは、写真館のシーン。
 後で調べると、田中泯さんという俳優さんなんだけれども、すごい存在感だった。
 その写真館のシーンは、ただ写真を撮りに行くだけなので、ちょっとした場面なんだけれども。
 そのちょっとした場面で、その田中さんにすごく引き込まれた。
 びっくりした。
 俳優さんの存在感とはこういうものなのか、と改めて思った。
 すごい。

 とにかく、明日の深夜、NHKでテレビ版の「八日目の蝉」がまた再放送されるので、そちらも観てみようと思う。