Photoshopデータで特に注意しなければならないのは、実寸時の画像解像度です。


これさえ正しく設定されていれば、まともな出力ができます。


しかし、キレイに出力するためにはやっておいた方が良いことがあります。


それは、ハーフトーンスクリーン属性をマニュアルで設定し、Photoshopデータに記録することです。


設定するのは


●出力線数


●網点の形状


●網点角度



です。

Illusutratorも、Photoshopと同様に解像度の設定をする必要があります。


Illusutratorをデフォルト設定のまま使用していると、キレイな出力結果を得られないことがあります。


出力するプリンターに合わせ、各種設定を行っていないからです。


設定するのは、


書類・オブジェクトの解像度

グラデーションとメッシュの解像度

ラスタライズ時の解像度


です。



書類・オブジェクトの解像度が正しくない時、もっとも影響が出るのが曲線(円弧)です。


円や弧が滑らかにに描けずガタついてしまうというものです(解像度の設定が低いために発生する事が多い)。


なぜそうなるかは、「直線のみで円(弧)を表現する方法」を考えると良く分かります。


●正方形のタテとヨコを等間隔に分割し、タテ・ヨコの各点を下図のように結びます。

低解像度1


●始点と終点、その間にある2直線の交点を、直線で結ぶと赤線のようになります。


低解像度2  

滑らかな曲線になっていません


●同じ大きさの正方形を今度は縦横5倍の細かさで分割し、同じように作図しました。


高解像度1


●同様に、始点・終点、その間にある2直線の交点をを結びます

高解像度2

今度は滑らかな曲線になりました


解像度が正しく設定されていないと(低いと)曲線がガタつく理由、理解していただけたでしょうか。




ラスタライズ効果の解像度の設定はPhotoshopの画像解像度と同じ考え方です。


デフォルトでは72ppiになっていますので、拡大率等を考慮して数値を決めて下さい。


デフォルト設定のまま 1/10 の縮尺でデータ作成した場合、実寸時、ラスタライズされた部分の画像解像度は 7.2ppi となり、ピクセルの目立つ粗い画像になります。




グラデーションとメッシュの解像度は、拡大率と出力線数を考慮し最適な値を求めてください。


出力線数は使用するプリンターの解像度で変わります。


 

大型サイングラフィックスの場合、1/50とか1/100とかの縮尺でデータを作成することも多いです。


隣り合うオブジェクト間に、データ上0.1mmの隙間があるとします。


このデータが1/100の縮尺で作られているなら、0.1mmの隙間は実寸時に10mmの隙間になります。


10mmも隙間が開いているとかなり目立ちます。


データ作成時に注意深くチェックしていれば防ぐことが出来ます。


なぜ、防げないのか?


それは、作り手に縮尺意識が欠けているからです。


上の例なら、「最終的には100倍に拡大されるデータを作っているのだ」という意識が抜けています。


スナップ機能に頼ってばかりではなく(正しくスナップしない事がある)、日頃から最高拡大倍率まで拡大して接点を見るクセをつけておけば、欠陥データを作ってしまう確率は減るでしょう。

Illustrator は Photoshop に比べて注意すべき点がたくさんあります。


正しく設定しないと綺麗な出力は望めません。


入稿は完全データ入稿が原則ですので、上手く出力できない場合その責任はすべてデータ作成側にあります。


親切な会社であれば、「データの○○がダメだから●●して下さい」と連絡してくれるケースもあると思いますが、その場合でも作成側でデータの修正をしなければなりません。


出力側でデータの修正をしてくれる事はまずありません。それは費用が発生するからです。


正しくないものがそのまま出力されたとしても、文句は言えません。


なぜなら、無知が故の結果だからです。


3/7128 


この数字は、私が今までに扱ったデーだのうち、「あ、この人はちゃんと分かっているな」と思ったデータの数です。


デザイナーの人数でいうと2人です。


素人レベルの自称プロが多いのです。デザインだけがデザイナーの守備範囲ではありません。


そこから先も勉強して欲しいものです。

一般的な素材集なら、30cm角程度の大きさで350ppiないしは300ppiの画像解像度を持って
いると思います。


これを拡大して使用する際、どれくらいの大きさまで拡大できるのでしょうか?


ここでひとつ注意しなければならないことがあります。


それは


「オリジナルデータの有している総ピクセル数を変更してはいけない


ということです


例えば画像サイズ30cm角解像度350ppiの画像データを、解像度50ppiにすると画像サイズ
は210cm角となります。


この時、両方の画像のピクセル総数は 4134ピクセル×4134ピクセル で変わりません。


変化しているのは1ピクセルの大きさです。


1ピクセルの大きさが大きくなっているので、ジャギーなどが目立ちやすくなります。


画像解像度がこれ以下(50ppi以下)になればなるほど1ピクセルが大きくなりさらにジャギーなどが目に付くようになります。


どこまで拡大できるか?には決まりは無く(オリジナル画像の持つサイズと画像解像度ですべてが決まります)、実はどこまで「許せる」か です。


少々粗い画像でも、数メートル離れて見ると、綺麗に見えます。


A4サイズ程度で良いので、同じ絵柄で、適正解像度のものとわざと粗くしたもの2枚を用意します。プリントして見比べてみると、ある程度の距離で見分けが付かなくなることを確認できると思います。


サインも同様で、ポスターなどのように人が間近で見る(評価距離が近い)場合では画像が粗く使い物にならなくても、それが野点看板や屋上広告塔などのようにかなり離れて見る(評価距離が遠い)場合は使用可能であることが分ります。


どうしても一定サイズ以上に拡大したく且つジャギーを目立たせたく無い場合は、総ピクセル数を増やすしかありません。

この場合、無から有を作ることになるので、最終画像はオリジナルに比してボケた印象になります。

アンシャープマスクを使用して輪郭を強調すればボケ具合は多少改善されます。