渡邉理佐と渡辺梨加。
二人には、名前以外にも共通点があった。
それは、二人とも両親を知らないのだ。
渡邉理佐と渡辺梨加の出会いは、児童施設だった。
当時の児童施設で、両親の顔すら知らないのは理佐と梨加の二人だけだった。
そして、当時の梨加は施設の大人の人に「りかには親がいないの?」と投げかけることが多かった。
そんな梨加を見て、理佐から声をかけた。
理「りかちゃん、あそぼ」
梨「……うん!」
理佐が声をかけたきっかけで二人は仲良くなった。
そして二人は、小学校、中学校、高校と一緒に過ごしてきた。ずっと一緒だった。
二人はお互いを支えながら生活をしていた。
だけど、中学2年生のとき梨加は自分に親がいないことを苦しみ毎日毎日泣いていた。
梨「…なんで…わ…たし、親がいないの…?捨てられたの…?嫌われたの…?」
梨加は、理佐の前で大粒の涙を流した。
理「りか…私がいるから、梨加を守るから…」
理佐は、梨加を後から抱きしめ頭を撫でた。
梨加は、理佐の胸にすがるように泣きわめいた。
そしてこれは毎日続いた。
梨加は毎日苦しみ泣きわめいていてが、梨加を見守る理佐も精神的に弱っていた。
そしてあるとき、理佐と梨加はお互いの寂しさを埋めるためにお互いを求めてしまったのだ。
だが、二人にとってその行為は正しいとは思わなかったのだろう。
お互いを求めたのは最初で最後となった。
そのとき、二人は話し合う時間を作った。
そして、今まで通りにお互いを支えあって助け合う関係性が落ちつけると分かり合えたのだ。
理「……ということなんだ…恋人らしいというか…その…お互いを支えていたのがお互いを求めしまったんだよね…」
理佐と梨加の話を愛佳と由依ちゃんは、涙を流しながら聴いていた。
梨「…今でも理佐ちゃんに助けてもらってるの…だけど私は何も出来てないから…ご飯作りに来たり、少しでも理佐ちゃんのためにって…行動してる…でも、愛佳たちからしたら異常に見えてるよね……ごめんなさい」
梨加は、愛佳の目を見つめた。
愛佳は涙を流しながら梨加の目を見つめ返した。
愛「ううん…こっちこそ…ごめん…何も知らずに、嫉妬とかしちゃってたし…迷惑かけた、」
理「愛佳は、悪くないから。知らなくて当然よ、話してなかったんだから。逆に、言わなかったことで愛佳と由依ちゃんには迷惑かけちゃったんだから、謝るのはこっちよ。ほんとうにごめんなさい」
理佐と梨加は、二人で頭を下げた。
すると、由依ちゃんから思いもしない言葉がふりかかった。
由依 「…理佐さんと梨加さんってバカなんですか?」
由依ちゃんは、涙を流しながら3人を驚かせるようなことを言ったのだ。
理「……え?」
梨「……え、バカ…かなぁ?」
由「はい、二人ともバカです。」
愛「ちょ、由依」
由「二人の過去はわかりました。話をしてくれたのは嬉しかったですし、理佐さんのことをもっとしれたのでよかったです。でも、なんで今でも二人で支えあってるんですか?」
由依ちゃんは、口を早々と動かせた。
そんな由依ちゃんの姿に、理佐と梨加は理解出来ずにいた。
理「え…だって、今までそうしてきたし…」
梨「…うん…」
由「…本気で言ってます?…私が言いたいのは、理佐さんにも梨加さんにも大切な人がいるじゃないですか。その人とも支え合えばいいんじゃないんですか?……ほら、理佐さんと梨加さんの目の前にいるじゃん。」
由依ちゃんは、目を細めながら理佐と梨加の顔を見て、愛佳をみた。
愛「…そうだよ!!!!私は梨加がすき!愛してる!だから支えたい!今度は、理佐じゃなくて私が守る!」
愛佳は、そう言って梨加を胸の中へ包み込んだ。
愛佳の行動に驚いた梨加だったが、今までの想いが愛佳の優しさで流されたかのように胸の中で泣きはじめた。
由「…理佐さん…私は年下ですし不甲斐ないと思いますが理佐さんのことを1番に好きだっていう自信だけはあります。だから私も理佐さんを支えたいし理佐さんに支えて欲しい……です…」
由依ちゃんは、さっきとはうってかわって顔を真っ赤にして理佐の近くへ近づいた。
理「…なーんで、由依ちゃんが照れてんのよ。でも、ありがとう。嬉しかった。それに、私も1番由依が好きだし守りたい。」
理佐は立ち上がって、由依ちゃんの腕を引っ張り抱きしめた。
理「由依…ありがとう」
理佐と梨加。
二人は今までずっと一緒で依存するように助け合ってきた。
だけど、そんな二人の中には、由依ちゃんと愛佳の存在が大きくなりこれからもっと大きくなるだろう。