1泊2日の秋合宿を土日に行った。

今年も例年通り私が話すこととなった。そして今回が最後の機会となる。
そうである以上今までの10年間の会社での学びを全て出しきろうと思った。
不安や恐怖だけでなく、前向きな強さで大きな壁を乗り越えていく方法を子どもとスタッフに伝えたいと思った。
何としてでも成功させたかった。

成功させたいと思うことをちゃんと成功させることは難しい。

特に、人に伝えるときには自分の気持ちが大きくなりすぎると押し付けになってしまう。
何度もそれで失敗した経験がある。
昔、ある上司から合宿での語りかけに関して、
「俺だったら最初は楽な感じから入るかな。そこから真剣にかえていくとうまく伝わるんや。」とBarで教えていただいたことがある。

だから今年の僕のテーマはユーモアとガッツ。真剣をユーモアや喩え話を使ってエンターテイメントにし、伝えたい思いを伝える。

子供はもちろん後に続くスタッフに1つでもヒントになれればと思い、毎時間毎時間全て別の話を盛り込んだ。

10分前後、15回話したので、合わせると2時間ぐらい話しただろうか。

子供は思いに応えてよくやってくれたと思う。
今年の6年生は集中力に課題がある学年だったが、それでも精一杯やってくれたと思う。
5年生はスタートからとても良かった。
頑張ってくれた子供に感謝したい。

一緒に働いてくれたスタッフにも感謝。

Oさんは宿泊の経験を活かした仕切りとムードメーカー役を。
Oは準備も含めて人一倍テキパキ動き、Nは5年生への指導とムービーの作成。Sさんは僕が見れない5年生を明るく励まし、そしてTさんは僕ができないスタッフと子供の統率を全てしてくれた。

いい仲間に恵まれ楽しい時間を過ごせた。

最後ムービーを流した後拍手が起こり、また最後のあいさつをした後も拍手が起こった状況は、幸せなハッピーエンドだった。
先日、野田塾主催の全国模擬授業大会が名古屋高校で開催された。
東京で中学受験を担当されているあこがれのO先生が出場すると聞いて、見学と応援に行ってきた。

第1回戦は、各科目各教室に分かれて行われ、私はいちファンとしてO先生の教室を見学。

挨拶もそこそこに張り詰めた中で模擬授業が始まった。

最初の先生に対しては、正直「甘いな」と思いながら授業を聞いていた。

ところが2番のF先生がでてきて、素因数分解を行って、明るすぎて無理に先生っぽく振舞っているなと思いながらも、板書の旨さ・無駄のない構成など、トータルで自分よりうまいと感じた。

次にO先生が登場。さすがの授業で、F先生よりも自然で奥行きが感じられて一歩上の授業と感じた。

感動に浸っている間に次のT先生。うまい。話のテンポと板書のリズムが僕の理想としているリズムだ。明るく勢いにも乗って楽しそうで、最後のピタゴラス数の紹介と証明は唸る深さもあった。授業に感動があった。

結局、T先生がO先生を倒してその教室で優勝。

そのT先生が部門別チャンピョン大会でM先生に破れ(個人的にはT先生の方が好きだが、M先生の板書の美しさと知識の深さを感じた)、そのM先生は最終決戦では入賞ができなかった。

優勝者は女性でおそらく30歳ぐらいの僕より年下の野田塾の女性講師。
最高の塾の先生になる言いながら、自分の実力不足を感じた。

ヒリヒリする刺激を感じる素晴らしいイベントだった。
ある小学6年生の話。

その子は大手塾から、5年生の冬期講習に転塾してきた。
転塾理由は「成績が悪くこのままでは志望校に合格できないから」。
その子が在籍していた大手塾では、成績順に座席が決まるのだが、その子は一番後ろの席だった。
だから「しっかり見てくれて厳しい」という評判の私の塾に変わりたいとのこと。

その子を初めて見て驚いた。
宿題をしっかり終わらすことが全くできないのだ。
宿題が途中で終わっている、丸付けができていない、漢字テストはいつも不合格、などの悪い症状が多数。
入塾するときに、お母さんがおっしゃられた「今の(当時)塾には感謝しています。」という言葉に怒りを覚えた。
「何もしてないまま2年間放置してきただけじゃないか。」
「放置されたなかで楽しく塾に通うってなんなんだろう。」

彼女の通塾が2・3週間たったころ、
「決められたことはしっかりやろう。うちの塾に来てもらう以上は、宿題はしっかりやろう。俺にも責任があるから見逃さずにしっかり言うよ。」と私は彼女に伝えた。
彼女は泣いていた。
う~ん、割と静かに言ったんだけどなあ。
でも言わないわけにはいかない。

それでも、彼女は勉強がしっかりできない日々が続いた。
習慣とは恐ろしい。良くも悪くも。
ただでも当時はそれでもいいと私は考えていた。
6年生からしっかり塾の自習室などで勉強をしてもらい、しっかりサポートすれば志望校に合格させれると読んでいたから。

そして6年生を迎える直前の2月下旬、母親に来てもらい面談した。
「残念ながら今は家では勉強できない。
だから今後の勉強スケジュールはこういう風にしていきたい。
そして自習室でしっかり見させてもらいたい」と。
「先生にお任せします。よろしくお願いします。」という母親からの言葉をもらったときはやるぞというエネルギーが満ちていくのを感じた。

ところが、
6年生である3月が始まっても彼女は決められた自習室に来ない。
もちろん宿題もそれなりしかやっていない。
(ちなみにうちは宿題は最低限しかださない塾だ。)
で、母親へ電話する。
「そういうスケジュールでしたっけ?」
え、何で??そんな。。

その後も6年生のスケジュールを守れない彼女。
だから母親と本人に「最低限はしっかり守るようにしましょう。」と伝えた。
そのとき母親は「でも子供がいうことをきかないんです。」と。
「大丈夫です。それは塾がやらせますから。だからただ連れてくることだけ協力してほしい」と応えた。
「でも本人が耐えられるでしょうか?」と母親。

私もそれは心配だったが、一度チャレンジさせたいと思った。
もちろん無理だったら止めようとも思いながら。
でも、子供が嫌がっているからやらせないほうがと考える母親のスタンスに対しは葛藤は感じた。
「厳しくても変わりたいからうちに来たのでは。」とか
「子供の成長を第一に考えるべきではないか。」とか
「それとも私が与えすぎなのかな。」とか
「いやいやそんなに潰す量は全く全く与えてない。」とか
「紹介していただいた方がいて、その人に責任持って応えたい。」とか。
う~ん、悩みました。

で彼女。
そのスケジュールで来るようになり宿題がずっと改善してきて手応えを感じはじめた4月ぐらいからか、残念ながら、同時に塾をときどき熱で休むようになった。
熱が出る日も、もちろん、彼女は学校には行っています。
今が勝負だから何とか頑張れよと思っていた。
みんなで励ましていこうともスタッフに声をかけた。

そんな中のある日、休みが3日間続いたとき、さすがに
「熱が少しあったとしても、簡単に休むを選択してしまうのはいけない。休む癖がついてしまうから。だから少しぐらいしんどくても来れる時は塾へ来よう」と私は電話口で彼女に伝えた。

その電話の翌日、母親から強烈な苦情の電話が別のスタッフのところに。
かなりきつい口調で、曰く、
「熱のときにまで勉強しなければいけないような受験はさせたくない。」
「熱が別の生徒にうつったらどうするんだ。」

言葉をとればそれは全くの正論である。
私も基本そんなことはさせたくない。
けど、でも、今は違うのではと思った。
今は決めたことから逃げ出さないということが一番大切ではないか。

しかし、悩みながらもスタッフには「親が望んでいないので、一旦彼女は細かくみることから外そう」と指示した。

塾の仕事は教育サービス業だ。
この教育サービス業という仕事にいつも悩む。
客である保護者や本人が望んでいないことを提供してはならないのはサービス業としてはアタリマエのこと。
でも、本人がしんどいことを乗り越えことこその成長だ。
教育として私が提供できるのは厳しい環境ではないのか。
彼女の成長のためと私が頑張ることが逆効果になっている。
ダメ塾のように、ただ来ているだけを放置すれば喜ばれているのに。

お客さんに敵を作らない。
でもそれが子供のためをじゃないとき子供のためを考えて信念を貫くか。
いやだけど、親も子もともに望んでいないなら、それは押し付けではないか。

悩む~。


とりあえず、今の結論。

今は少しペースダウンをして、もう少し本人の成長をまとう。
母親に機会ができたらまた一生懸命話してみよう。
まずは待つぞ。
けど、こらからも自分ができることを諦めない。