旅と本『旅で眠りたい』蔵前仁一
旅と本
旅と本『旅で眠りたい』蔵前仁一(1999)
この本のおかげで、いや、全ての蔵前さんの作品のおかげて、僕の旅人生が始まったと言っても過言ではない。
バックパッカーのバイブル雑誌『旅行人』を入手するのが困難な田舎に住んでいた僕は、東京神田まで"上京''し、『旅行人』を求めて書店街を彷徨った。
何軒もはしごし、目当てのバックナンバーを探し当てた時の感動が今だに蘇る。
その時手に入れる事ができた『メコンの国情報ノート』はいまだに大事にとってある。
今では、メコンの国々は様変わりし全く古い情報なのだか、30年以上たった今でも、時折り思い出したように手に取りページをめくる。
情報の古い新しいが問題ではない。
旅情とはそう言うものだと思う。
恍惚の時。懐かしい安宿の情景。
談話室に無造作に置いてあるあらゆるジャンルの本たち。
激混みのローカルバス。
下手な日本語を操り擦り寄ってくる客引きのおじさんたち。
僕を珍しそうに取り巻く子供たちの笑顔…目をつむると昨日の事のように蘇る。
あー今日も、トリス片手に懐かしの旅行人をめくりながら、どこかに旅をしよう。
この本は…
1990年代、多くのバックパッカーが世界各地を旅していた時代、日本を出発して、台湾、香港、東南アジア、インドと旅をし、そこからさらに西へ、パキスタン、イランと渡ってトルコにたどり着く、およそ1年にわたる長いアジア横断の旅がこの1冊に。安宿に泊まり、オンボロのバスに乗り、多くの旅仲間と出会いながら、アジアの旅で眠った幸福な時間がここに。
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